携帯電話に搭載される「D級アンプ」 ――LCフィルタが不要で高効率
音声再生時の出力MOSFETの状態は,図9に示すとおり,+出力の"H"側と-出力の"L"側がONの状態,-出力の"H"側と+出力の"L"側がONの状態,+出力の"H"側と-出力の"H"側がONの状態,+出力の"L"側と-出力の"L"側がONの状態の4パターンが存在します(後ろの2パターンでは,負荷にかかる電圧が0Vになる).これは,いわば3値のディジタル値と言えます.それぞれの変調方式の出力波形を図10に示します.
〔図9〕TPA2005D1のPWM変調方式(3値)
本ICのPWM変調方式には四つの出力状態が存在する.(a)は+出力の"H"側と-出力の"L"側がONの状態(出力がプラス側に振れている状態).(b)は-出力の"H"側と+出力の"L"側がONの状態(出力がマイナス側に振れている状態).(c)は+出力の"H"側と-出力の"H"側がONの状態(出力は0V).(d)は+出力の"L"側と-出力の"L"側がONの状態(出力は0V).これは,+,-,0の3値のディジタル値と言える.
〔図10〕 PWM制御の違い
(a)は従来のPWM変調方式.入力波形と三角波をコンパレータで比較した結果がPWM波形になる.アナログの振幅レベルが大きくなるとき,PWMのデュティ・サイクルが大きくなる.(b)は本ICの3値のPWM変調方式.