携帯電話に搭載される「D級アンプ」 ――LCフィルタが不要で高効率
図14に周波数のスペクトルを示します.フェライト・ビーズと1nFのフェライト・フィルタを挿入すると,30MHz以上のところで電磁放射ノイズが大幅に減っていることがわかります.当然,LCフィルタはそれよりも低い周波数を含めて,全体的に放射レベルを抑えていることがわかります.これらのD級アンプとフィルタの構成は数W~数十W出力のオーディオ機器にも適用されています.多くの場合,フィルタなしか小型のフェライト・チップ・ビーズの構成で問題なく動作しています.
〔図14〕各種フィルタ使用時の周波数スペクトラム
出力側の電磁放射ノイズを測定するため,0~50MHzの電場の強さの周波数スペクトルを測定した.470pFのコンデンサを対グラウンド設置してもあまり効果が得られない.フェライト・ビーズと1nFのコンデンサの構成フェライト・フィルタでは10MHz以上の電磁放射ノイズに対して有効である.22μHのコイルと1μFのコンデンサのLCフィルタでは,カットオフ周波数以上で有効である.ただし,ノイズ低減のレベルはフェライト・ビーズより劣る.