携帯電話に搭載される「D級アンプ」  ――LCフィルタが不要で高効率

滝川宏之

tag: 半導体

技術解説 2003年7月11日

 D級アンプは,電力効率が80%~90%と高いことで知られています(図2).一方,AB級アンプと比べると,D級アンプは内部回路が複雑で,一定の周波数でスイッチングしていることから無信号時の消費電流が大きく,電源リプル除去比や出力電圧ノイズの特性も劣っているというのが一般的な認識です.

 しかし表1を見る限り,本ICはAB級アンプと比べてなんらそん色はなく,むしろAB級アンプよりも優れている点もあります.携帯電話では少しでも効率を良くするため,スピーカ駆動用のアンプはレギュレータを使わずにバッテリ直結で使うことが望まれます.携帯電話の電源は,消費電力を抑えるため,つねに100Hz~200Hz程度でスイッチングしています.そのため,電源リプルが数百mV存在しています.電源リプル除去率が良くないと,アンプを電源に直結して使う場合,音質は悪化してしまいます.

 また,本ICは入力から出力まで完全な差動信号パスになっているので,RFノイズ耐性が高いという特徴を持っています.携帯電話ではつねにRFノイズを受けながら音声を再生しなければならないことから,このRFノイズ耐性も重要なポイントになります.

 このほか,LCフィルタがいらなくなったことや,外付けの部品点数を削減できるようになったことも特徴です.このように携帯電話に採用されるにあたって重要となるポイントの詳細は,後ほど説明します.

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〔図2〕D級アンプとAB級アンプの効率
このクラスのアンプの出力電力は最大500mW以上になる(電源電圧は3.6V,負荷は8Ω).音楽や音声を再生するときの出力電力は数十mW~200mW程度である.このときのAB級アンプの効率は20%~40%,本ICの効率は75%~85%になる.

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