プログラマブル・ロジックを集積したSHマイコンのすべて(前編) ――FPGA/PLD市場に参入する日立製作所の取り組み
4.SHコア版CSoCの仕様
SHをコアにしたCSoCの製品仕様の概要を図6に示す.
このSHコアのCPUアーキテクチャは,命令長が16ビット固定のRISCアーキテクチャである.また,通常のSHが持っている積和演算機能に加えて,さらにDSP演算処理を強化するためのDSP拡張命令(16/32ビット長命令混在)をサポートする(SH-DSP).CPUの動作周波数は,80MHz版と100MHz版の二つのバージョンを用意する予定である.また,キャッシュ・メモリを搭載し,性能の向上を図る.
内蔵する論理ブロック(CSL,詳細は後述)は2種類準備している.SH7651という製品は2×2バンク(約1万ゲート),SH7655という製品は5×5バンク(5万ゲート)のCSLを搭載する.
外部メモリ・インターフェースには,SRAM,SDRAMなどの各種メモリを直結できる.メモリの種類やウェイト数,ストローブ・タイミングなどはレジスタ設定で指定できる.
周辺モジュールは,DMAコントローラ,汎用タイマ,シリアル・コミュニケーション・インターフェースなどのほかに,USBファンクション・モジュールも搭載する.これらの周辺機能に加えて,CSLに任意のユーザ論理をプログラムできるので,この製品はさまざまな応用分野に適用できる.
また,CPUのオンチップ・デバッグ機能を搭載しており,JTAGインターフェースによるデバッグを容易に行うことができる.
使用する製造プロセスは0.18μmルールの CMOSプロセス,パッケージはBGAまたはQFPで提供する.2002年中のサンプル出荷を予定している.
なお,本仕様は開発中の製品であるため,一部変更する可能性があることを付け加えておく.
(a)ブロック図
(b)仕様
CSL | プログラマブル・ロジック |
SHコアの動作周波数 | 80MHz/100MHz |
DSP | CPUと密結合 |
X/Y RAM | 16Kバイト(DSP用ハーバード接続) |
キャッシュ | 命令・データ混在,4way |
DMAコントローラ | 4チャネル |
シリアル・ポート | 3チャネル |
16ビット高機能タイマ | 5チャネル |
インターバル・タイマ | 2チャネル |
USB1.1 | ファンクション1チャネル |
ウオッチドッグ・タイマ | 1チャネル |
デバッグ・インターフェース | JTAGデバッグ・インターフェース+ブレークポインタ |
外部バス・インターフェース | SRAM,SDRAM,ペ-ジモ-ド・ フラッシュ・メモリ,アドレス/データMPX |
割り込み | 優先順位16レベル |
I/Oポート | 汎用入出力,CSL入出力 |
パッケージ | BGA,QFP |
(c)CSL仕様
製品
|
バンク
|
セル数
|
セレクタ数
|
ユーザ・ゲート数
|
SH7651
|
2×2
|
512
|
32
|
約10,000
|
SH7655
|
5×5
|
3,200
|
200
|
約50,000
|
〔図6〕SHコアを内蔵するCSoC製品の仕様
SHをコアにしたCSoCの製品仕様を示す.なお,本仕様は開発中のものであり,変わることがある.