プログラマブル・ロジックを集積したSHマイコンのすべて(前編) ――FPGA/PLD市場に参入する日立製作所の取り組み

山崎尊永

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2002年1月21日

4.SHコア版CSoCの仕様

 SHをコアにしたCSoCの製品仕様の概要を図6に示す.

 このSHコアのCPUアーキテクチャは,命令長が16ビット固定のRISCアーキテクチャである.また,通常のSHが持っている積和演算機能に加えて,さらにDSP演算処理を強化するためのDSP拡張命令(16/32ビット長命令混在)をサポートする(SH-DSP).CPUの動作周波数は,80MHz版と100MHz版の二つのバージョンを用意する予定である.また,キャッシュ・メモリを搭載し,性能の向上を図る.

 内蔵する論理ブロック(CSL,詳細は後述)は2種類準備している.SH7651という製品は2×2バンク(約1万ゲート),SH7655という製品は5×5バンク(5万ゲート)のCSLを搭載する.

 外部メモリ・インターフェースには,SRAM,SDRAMなどの各種メモリを直結できる.メモリの種類やウェイト数,ストローブ・タイミングなどはレジスタ設定で指定できる.

 周辺モジュールは,DMAコントローラ,汎用タイマ,シリアル・コミュニケーション・インターフェースなどのほかに,USBファンクション・モジュールも搭載する.これらの周辺機能に加えて,CSLに任意のユーザ論理をプログラムできるので,この製品はさまざまな応用分野に適用できる.

 また,CPUのオンチップ・デバッグ機能を搭載しており,JTAGインターフェースによるデバッグを容易に行うことができる.

 使用する製造プロセスは0.18μmルールの CMOSプロセス,パッケージはBGAまたはQFPで提供する.2002年中のサンプル出荷を予定している.

 なお,本仕様は開発中の製品であるため,一部変更する可能性があることを付け加えておく.

f06_01.gif
(a)ブロック図

(b)仕様

CSL プログラマブル・ロジック
SHコアの動作周波数 80MHz/100MHz
DSP CPUと密結合
X/Y RAM 16Kバイト(DSP用ハーバード接続)
キャッシュ 命令・データ混在,4way
DMAコントローラ 4チャネル
シリアル・ポート 3チャネル
16ビット高機能タイマ 5チャネル
インターバル・タイマ 2チャネル
USB1.1 ファンクション1チャネル
ウオッチドッグ・タイマ 1チャネル
デバッグ・インターフェース JTAGデバッグ・インターフェース+ブレークポインタ
外部バス・インターフェース SRAM,SDRAM,ペ-ジモ-ド・ フラッシュ・メモリ,アドレス/データMPX
割り込み 優先順位16レベル
I/Oポート 汎用入出力,CSL入出力
パッケージ BGA,QFP

(c)CSL仕様

製品
バンク
セル数
セレクタ数
ユーザ・ゲート数
SH7651
2×2
512
32
約10,000
SH7655
5×5
3,200
200
約50,000

〔図6〕SHコアを内蔵するCSoC製品の仕様
SHをコアにしたCSoCの製品仕様を示す.なお,本仕様は開発中のものであり,変わることがある.

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