プログラマブル・ロジックを集積したSHマイコンのすべて(前編) ――FPGA/PLD市場に参入する日立製作所の取り組み
2.FPGA/PLD内蔵マイコンの動向
電子機器の設計者は,前記の利害得失を考慮してベストの手法を選択しなくてはならない.最近になって,こうした利害得失の問題を軽減できる可能性のあるLSIが出回り始めた.それは,FPGA/PLD内蔵マイコンやFPGA/PLD内蔵ASICによる設計である(図1の(4),表1).この考えかたは単純で,標準マイコンにFPGAやPLDなどを内蔵する方法である.最近の半導体プロセスの微細化(0.18μmルール以下)によって,このような製品を実現しやすくなってきた.
●FPGA/PLD内蔵マイコンのメリット
内蔵するFPGA/PLD側にユーザが所望する機能を実装することで,カスタム仕様の1チップ・マイコンを実現できる.また,FPGA/PLDなので開発期間も短い.このチップがマイコン+FPGA/PLDの2チップ分の価格と同等以下ならば,基板面積を削減できる分,コストを低減できる.また,FPGA/PLDの特徴を生かすと,出荷後のハードウェアの保守(バグ対策,アップデート)や機能変更が容易となり,新しい用途が開ける可能性がある.さらにこの製品は,各種の仕様へ対応できるSOC(system on a chip)を実現できる一方で,単一の標準品であるため,ユーザの在庫管理も容易になる.