プログラマブル・ロジックを集積したSHマイコンのすべて(前編) ――FPGA/PLD市場に参入する日立製作所の取り組み
3.CSoCの開発
プログラマブル・ロジック内蔵SHマイコンは,米国Triscend社と日立製作所が共同で開発している.内蔵するプログラマブル・ロジックは,回路ブロック内に構成した回路にCPUから容易にアクセスできるようにバス接続構造を内部に持っていることと,高速な加算器,カウンタ,乗算器を構成するためのサポート回路を持っているという特徴からCSL(Configurable System Logic)と呼んでいる.CSL部はプログラム素子としてSRAMセルを使うFPGAと基本的に同じ構造である.
また,CSLを内蔵したマイコンのことを,ユーザ側でコンフィグレーションできるシステム・オンチップ・デバイスであることから,筆者らはCSoC(Configurable System on Chip)と呼んでいる.
現在開発中のCSoCは,SHのCPUコアとタイマやシリアル・コミュニケーション・インターフェースなどの周辺回路,デバッグ・インターフェース,内蔵メモリなどを集積したものである(図4).
このようなCSoC内のCSLの活用例を図5に示す.不足する周辺回路を追加したり,ユーザ固有のバス・ブリッジやタイミング調整用インターフェースなどのグルー論理,さらにCPUの機能を補う乗算,除算,暗号処理などの演算アクセラレータ,画像・音声などのデータ処理回路を構成する,といった例が挙げられる.