ポストPC時代のキーワード「エンベデッド」のすべて ――転換点はカー・ナビゲーション・システム

今村義幸

tag: 組み込み

技術解説 2001年5月17日

 「IT革命」という言葉が定着して1年もたったであろうか.エンジニアでなくても,ITがインターネットやパソコンではないことは理解しているように思われる.一方,「組み込み」あるいは「エンベデッド」という言葉は,IT革命に比べるとあまりにもマイナな業界用語であり,市民権を得ていないようでもある.ところがIT革命の主役は,明らかに「組み込みシステム」なのである.

 一般消費者にとっては,iモード携帯電話が32ビットRISC CPUを採用し,組み込み専用のリアルタイムOSを搭載した組み込みシステムであることは無関係である.しかし,これからエンジニアとしての人生を切り開くフレッシャーズの皆さんには,おおいに関係する言葉である.

 ここでは,おもに組み込みシステムを構成するソフトウェアのテクノロジに焦点をあて,組み込みシステムの要素技術をみていく.まず,制御系を中心に利用されていたリアルタイムOSが,民生品に採用される転機となったカー・ナビゲーション・システムを例に,組み込みシステム設計のポイントを解説する.VxWorksとITRONを例にリアルタイムOSの話題に触れ,新しい組み込みOSの動向を探る.そのほか,組み込みCPU,開発環境とデバッグ技術,情報家電における新しい開発スタイルなどについても紹介していく.  (筆者)

1.組み込みシステムとは何か

 組み込みシステムの定義は,あいまいであるが「パソコン(PC),ワークステーション(WS),大型コンピュータ,およびこれらをベースにしたシステム以外で,高性能のマイクロプロセッサや小型のマイクロコントローラが介在したシステムすべて」と言えるだろう.つまり,コンピュータの外観をしていない,CPUを搭載している製品,装置,機器はすべて組み込みシステムなのである.

●アナログからディジタルへの移行

 トランジスタ革命が進み,一般家庭への家電・エレクトロニクス製品の普及にはずみがついた.今日のディジタル革命に至っては,個人がより付加価値の高い情報やサービスを享受できるようになった.たとえば,アナログのトランジスタ・ラジオは,チューナをマイコン化して受信精度を上げていたが,いまでは文字放送を多重化して電波に乗せ,ディジタル技術によって情報提供の手段を広げるに至った.

 アナログ地上波のテレビも同様である.チューナやリモコンはマイコン化が進んで便利になったが,ついには放送する信号形態にもディジタル化の大きな波が訪れた.BSディジタル放送が開始され,2010年にはアナログ地上波が打ち切られることになったのである.テレビ番組の配信がディジタル化されることで,テレビが民生品からディジタル家電(最近はIT家電とも呼ばれる)へと,その性格をはっきりと変えてきた.

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