無線通信の基礎知識 ―― 組み込み機器に無線機能を付けるために知っておこう
● 無線機器開発には特有の課題がある
その一方で,これらの無線通信機器を開発する立場から見ると,以下のような無線通信特有の課題を考慮する必要があります.
- 電波を利用する機器は,電波法などの法規制を受ける
- 上記に関連して,電波を利用する機器は原則として技術基準適合証明を受ける必要がある
- 通信が不安定で,データの一部が化けてビット・エラーが発生したり,通信が途切れたりする
- 電波を利用するほかの機器からの干渉・妨害を受ける可能性がある
- 通信内容が傍受され,情報が漏えいする可能性がある
- 有線通信に比べて高速化が困難である
特にハードウェア設計の面では,高周波回路やアンテナを扱う技術など,特殊な技術が必要とされる場合があります.
2.無線通信の担い手「電波」とは
近年普及している無線通信機器の多くが,情報を伝える媒体として電波を使用していますが,そもそも電波とはどのようなものなのでしょうか.電波は目に見えず,空間を自由に伝わります.これと同じような特徴を持つ「音」(音波)とはどこが違うのかを考えてみましょう.
● 音波は空気の振動によって伝わる
音波は,よく知られているように空気が振動することによって空間を伝わります.わたしたちの声帯やスピーカのコーンが,1秒間に何百回,何千回の頻度で振動すると,空気や水などの物体の振動となって空間を伝わります.それが,わたしたちの耳の鼓膜をわずかに振動させて神経を刺激し,音として感じられます.
このとき,1秒間に何回の頻度で振動しているかを示すのが周波数で,単位はHzです.わたしたち人間が音として聞くことができる周波数はおよそ20Hz~20000Hzといわれており,周波数が高いほど高い音として聞こえます.