無線通信の基礎知識 ―― 組み込み機器に無線機能を付けるために知っておこう
インターネット・メールやWebブラウザなどは,TCP/IPを利用することが前提となっています.無線通信機器にインターネット・メールやWebブラウザを搭載しようとする場合,TCP/IPのプロトコルを処理する機能が必要です.
また,プロトコル処理には物理的な接続手段を隠ぺいするという役割もあります.例えば,インターネット・メールやWebブラウザはTCP/IPを利用すると説明しました.TCP/IPを使う限り,アプリケーション・ソフトウェアは,無線LANで接続しているのか,それともEthernetで接続しているのか,はたまたモデムを使って電話回線で接続しているのか,ということを意識する必要はありません.どのような接続手段を使っているにしろ,TCP/IPで通信している限り,アプリケーション・ソフトウェア側では同一の手順で世界中のコンピュータとデータの欠落やエラーのない確実な通信を行えます.
プロトコル処理は,OSの一部として組み込まれている場合やライブラリのような形態で提供される場合などがあります.簡単な組み込み機器の場合は,アプリケーション・ソフトウェアと一体化していることもあります.
● アプリケーション・ソフトウェア:サービスを提供
アプリケーション・ソフトウェアは,最終的に無線通信を利用することになるソフトウェアです.メーラやWebブラウザなどの高機能なものから,センサを使って何らかの物理量を測定するものまで,さまざまな形態が考えられます.