ARMベース・システムLSI開発の事例研究 ――CPUの選択,バス構成,グラフィックス処理やビデオ表示制御の取り扱い
● 改良版のマルチレイヤAHBを採用
ARMコアをベースにLSIを設計するとなると,そのバス・アークテクチャであるAMBA(Advanced Microcontroller Bus Architecture)をよく知る必要があります.AMBAはいくつかあるバス方式の総称であり,もっとも普及しているのがAMBA Rev.2です.このうちの代表的なものにAHB(Advanced High-performance Bus)とAPB(Advanced Peripheral Bus)があります.
- AHB――高速転送用のバスで,アドレス・フェーズとデータ・フェーズがずれた,いわゆるパイプライン型のバス.コア側クロック(HCLK)の1サイクル・ピッチで転送できる.
- APB――周辺モジュールを接続する低速バスで,アドレスとデータは同一フェーズに現れる.周辺側クロック(PCLK)の2サイクル・ピッチで転送する.AHBとAPBをインターフェースするブリッジ回路がIPベンダから提供されている.
最近のシステムLSIでは,純粋なAHBバスではなく,その改良版のマルチレイヤAHBを採用することが多くなっています.本LSIでもこれを採用しています.その考えかたを図2に示します.マルチマスタとマルチスレーブを簡単に接続でき,複数マスタのアクセス先スレーブが異なっていれば並行して同時アクセス可能です.これにより,システム性能を向上させることができます.各モジュールとマルチレイヤAHBの間は,AHB仕様からアービトレーション関係の信号を省いた「AHB Lite」というバス規格で接続します(図3,表4).
信号名 |
出力元 |
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