ARMベース・システムLSI開発の事例研究 ――CPUの選択,バス構成,グラフィックス処理やビデオ表示制御の取り扱い

山崎尊永

tag: 組み込み

技術解説 2006年7月27日

● 改良版のマルチレイヤAHBを採用

 ARMコアをベースにLSIを設計するとなると,そのバス・アークテクチャであるAMBA(Advanced Microcontroller Bus Architecture)をよく知る必要があります.AMBAはいくつかあるバス方式の総称であり,もっとも普及しているのがAMBA Rev.2です.このうちの代表的なものにAHB(Advanced High-performance Bus)とAPB(Advanced Peripheral Bus)があります.

  • AHB――高速転送用のバスで,アドレス・フェーズとデータ・フェーズがずれた,いわゆるパイプライン型のバス.コア側クロック(HCLK)の1サイクル・ピッチで転送できる.
  • APB――周辺モジュールを接続する低速バスで,アドレスとデータは同一フェーズに現れる.周辺側クロック(PCLK)の2サイクル・ピッチで転送する.AHBとAPBをインターフェースするブリッジ回路がIPベンダから提供されている.

 最近のシステムLSIでは,純粋なAHBバスではなく,その改良版のマルチレイヤAHBを採用することが多くなっています.本LSIでもこれを採用しています.その考えかたを図2に示します.マルチマスタとマルチスレーブを簡単に接続でき,複数マスタのアクセス先スレーブが異なっていれば並行して同時アクセス可能です.これにより,システム性能を向上させることができます.各モジュールとマルチレイヤAHBの間は,AHB仕様からアービトレーション関係の信号を省いた「AHB Lite」というバス規格で接続します(図3表4)

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図2 マルチレイヤAHB
マルチレイヤAHBは,複数のマスタ・モジュールと,複数のスレーブ・モジュールを相互結線する構造を持つ.例えばこの図では,マスタ#1がスレーブ#2にアクセスするのと同時に,マスタ#2がスレーブ#1にアクセスできる.各モジュールとマルチレイヤAHBの間は,AHB-Lite規格のバス信号で結ばれている.


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図3 AHB Lite
AHB Liteは,標準的なAHBバスからアービトレーション関係の信号を省いたものである.マルチレイヤAHB上では,複数のバス・マスタが存在していてもバス側で調停を行い,マスタ側は基本的にはHREADYOUTだけを見てバス生成の制御を行う.これにより,設計上の見通しが良くなる.

表4 AHB Lite信号の意味

信号名
出力元
意 味
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