ARMベース・システムLSI開発の事例研究 ――CPUの選択,バス構成,グラフィックス処理やビデオ表示制御の取り扱い
図7に,テレビやTFTパネルの場合の表示タイミングを示しました.図7(a)のように水平ブランキング期間が始まったら,フレーム・メモリの水平方向1ラインを一気にバースト・リードします.またVDCは,テレビとLCDの同時表示が可能です.図7(b)のようにテレビとTFTは水平周期が非同期の関係になりますが,アクセスが競合するタイミングでは最大128ピクセルごとに切り替えて,表示動作が破たんしないようにしています.
CRTCとLCDCからは,独立に垂直周期で割り込みが出力されており,アプリケーション側でその周期に同期して描画処理とフレーム・メモリの先頭アドレスの切り替えを行います.テレビとLCDの同時表示の場合は,テレビ用とLCD用に二つのタスクを用意して,テレビ用タスクはCRTCからの割り込みで,LCD用タスクはLCDCからの割り込みで,それぞれ描画とフレーム・メモリ切り替えを独立に実行します.これによって,異なるアニメーション(動画)を表示させることができるわけです.
LCDパネルのうち,STNパネルは各ピクセルがON状態かOFF状態しかないので,階調表示させるには,チラツキやビートを抑制するための特殊変調したパルスによるディザリング処理が必要です.LCDCにはこのための制御回路があり,STNパネルについても32768色の発色を可能にしています.