ARMベース・システムLSI開発の事例研究 ――CPUの選択,バス構成,グラフィックス処理やビデオ表示制御の取り扱い
CPUコア関係でLSI仕様に影響する点の一つとして,デバッグ用インターフェースETM(Embedded
Trace Macrcell)9があります.ETM9はトレースやブレークポイントなど,ユーザ向けのデバッグ機能を提供するブロックで,表3に示す外部ポートが必要です.
このうち,JTAG関係の端子はLSIテストにも必要なので省けないと思います.しかし,トレース用信号としてTRACECLK以下の9~21本のピンが必要になり,コストを抑えるためにLSIパッケージのピン数に制限があるときは,この本数がネックになります.本LSIでは,TRACEPKT信号を4本とし,合計9本のトレース信号を出しています.同時にこれらの端子にGPIO機能をマルチプレクスし,専用の外部信号1本で機能を切り替えられるようにしています.なお,ETM9はベンダからIPコアとして提供してもらう際に,内蔵するデバッグ機能の規模を3~4通りの中から選択することになっています.
表3 ARM9デバッグ・ポート
項 目 |
信号名 |
方 向 |
内 容 |
TAP インター フェース (JTAG) |
TCK | 入力 | JTAGテスト・クロック |
TMS | 入力 | JTAGテスト・モード | |
nTRST | 入力 | JTAGテスト・リセット | |
TDI | 入力 | JTAGテスト・データ入力 | |
TDO | 出力 | JTAGテスト・データ出力 | |
RTCK | 出力 | JTAGリターン・クロック(注1) | |
nSRST | 入出力 | JTAGシステム・リセット(注2) | |
TRACE | TRACECLK | 出力 | トレース・クロック(注3) |
TRACESYNC | 出力 | トレース同期化信号 | |
PIPESTAT[2:0] | 出力 | ARMパイプライン・ステータス | |
TRACEPKT[N-1:0] | 出力 | トレース・パケット(注4) |
注1;ICEがTDOを取り込むクロック
注2;オープン・ドレイン出力
注3;フル・レート,ハーフ・レートの選択あり
注4;バス幅は4,8,16ビットから選択