ARMベース・システムLSI開発の事例研究 ――CPUの選択,バス構成,グラフィックス処理やビデオ表示制御の取り扱い
VDCの内部は図5のように,テレビ用のCRTC(CRTコントローラ)とLCDパネル用のLCDC(LCDコントローラ)に分かれています.CRTCの出力はビデオ・エンコーダとビデオDAC(D-Aコンバータ)を通して,コンポジット・ビデオ信号としてLSIから出力します.LCDCの出力はLCDパネルに直結可能な信号として出力しています.TFTに対してはRGBパラレル・データと同期信号,STNに対しては8ビット・データと同期信号です.
CRTCとLCDCのそれぞれが横方向1ライン分のライン・バッファを持っています.1ラインの走査(SDRAM上のフレーム・メモリのリード)を開始したら,一気にバースト読み出しを行ってピクセル値をライン・バッファにためます.テレビやLCDパネルに対しては,表示タイミングに合わせて順次,ライン・バッファからピクセル・データを送出していきます.
図5 VDCのブロック図
VDCは,テレビ表示用のCRTCとLCD表示用のLCDCから構成される.それぞれがフレーム・メモリを走査するためのバス・マスタになっており,CRTCはテレビのVGA表示時の横方向ピクセル数分の,LCDCはSVGA表示時の横方向ピクセル分のライン・バッファ(FIFOメモリ)を持っている.水平方向のブランキング期間の開始時からフレーム・メモリを横方向に走査(リード)し,ライン・バッファに格納する.ライン・バッファからは,テレビあるいはLCDの表示タイミングに合わせてピクセル値を取り出し,それぞれの表示装置に送る.マルチレイヤAHBのインターフェースのブロックには,テレビとLCDを同時に表示するための調停回路が入っている.CRTC側のビデオ・エンコーダIPはYCbCrデータでインターフェースする仕様だったので,CRTC内でRGBからYCbCrへの変換を行った.フレーム・メモリ上のピクセル値をYCbCrにするモードに設定されているときは,この変換回路をバイパスしている.LCDC側は基本的にはRGB値をそのままパネルに送出すればよいが,フレーム・メモリ上のピクセル値をYCbCrにするモードに設定されているときはYCbCrからRGBに戻す変換回路を通す.