ARMベース・システムLSI開発の事例研究 ――CPUの選択,バス構成,グラフィックス処理やビデオ表示制御の取り扱い
さらにGDPは,転送する絵の色相・彩度・明度を変更しながら転送することができます.RGBそれぞれの色要素に対して独立に掛ける係数AとオフセットBを指定できます.
転送するピクセル値=ピクセル値×A+B
これにより,1個の材料にいろいろな効果を付けてフレーム・メモリ上に展開できます.
GDPの内部構造は図10に示すように,CPUに似た構造を持っています.アファイン変換における座標演算やアルファ・ブレンディング,色変換などの各処理は,固定小数点による高速演算回路で処理しています.
図10 GDPのブロック図
GDPは,グラフィックス・データをフレーム・メモリにBitBlt転送する一種のDMAコントローラだが,アファイン変換やアルファ・ブレンディングなどの複雑な処理があるため,構造はCPUに近い.内部的には,命令に相当するシーケンス記述がワイヤード論理で記述されており,それに従って5段パイプライン制御で動作する.BitBlt転送時のSDRAM性能の効率向上のため,一度に16ピクセルを連続リード/ライトできるように,ソース・ピクセル・バッファとデスティネーション・ピクセル・バッファが用意されている.