自動車のセーフティ機能の多様化に対応するセンサ・ネットワーク ――エア・バッグ・システムのワイヤ・ハーネスの低減と信頼性の向上を目ざす

古谷壽章

tag: 組み込み

技術解説 2005年12月28日

 近年では,用途に応じたプロトコルが提唱されています.例えば,パワー・ウィンドウやシート,ワイパといったボディ(車体)系の一部など,CANではオーバスペックとなるようなシステムでは,実装コストが安いLIN(local interconnect network)が使用され始めています(図1).また,エンジン制御やブレーキ制御などのパワートレイン(動力伝達)系,シャーシ(車台)系など,時間的制約が厳しい(タイム・クリティカルな)データ通信を必要とするシステムには,FlexRayなどのX-by-Wireプロトコルが注目されています.カー・ナビゲーション・システムなどの情報系ではMOST(media oriented systems transport)やIDB-1394などが,またエア・バッグなどのセーフティ系においてはエア・バッグ制御に特化したLANプロトコルが注目されています.

 用途に応じたプロトコルが採用されているものの,それぞれのシステムはシステム内のローカルな情報のみで制御されるわけではなく,ほかのシステムからの情報も利用して制御を行っています.各システム間をつなぐ基幹ネットワークとしては,おもにCANが用いられています.各システムには,基幹ネットワークとデータの受け渡しを行うゲートウェイ機能を持ったユニットが必要となっています.基幹ネットワークとしてCANが用いられる理由は,ユニットの故障診断をCAN経由で行わなければならないという北米の法規制によるところもあります.

 本稿では,エア・バッグの制御およびLANプロトコルの動向について解説します.

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図1 車載LANの構成
自動車には,用途に応じてさまざまなLANプロトコルが用いられている.例えば,大量のデータを扱い,高速のデータ通信が必要なマルチメディア系ではMOSTやIDB-1394などが用いられている.また,高速で,かつ,高い信頼性が求められるエンジンやステアリング,ABSといったパワートレイン系やシャーシ系ではFlexRayが用いられ,ボディ系では低速のCANやLINなどが用いられる.各ネットワークの基幹としてCANを用いることで,それぞれのデータを共有し,そのデータを各制御で利用することができる.

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