自動車のセーフティ機能の多様化に対応するセンサ・ネットワーク　――エア・バッグ・システムのワイヤ・ハーネスの低減と信頼性の向上を目ざす

● 数百μsごとに取得するセンサ・データをもとに制御

　エア・バッグECU内のマイクロコントローラは，定期的に衝突検出センサからセンサ・データを取得し，集まったデータを演算することによって衝突判定を行います．衝突検出用データの取得は数百μs間隔で行われますが，その取得周期の何回かに1回，バックル・スイッチや乗員検知センサからデータを取得し，乗員の状態を把握します．さらに，通信データが異常値を示したり，データが未達になったりしていないかによって，センサ・システムに異常がないかどうかをチェックします．

　また，スクイブ・ユニットに対しては，各スクイブ・ユニットの故障診断を促し，そのデータを取得することによって，ユニットに異常がないかどうかをチェックします．エア・バッグは，万一衝突が起こったときにのみ確実に作動しなければなりません．そのため，スクイブ・ユニットは，通常時はつねに故障診断を行っていることになります．万一故障が発生した場合には，エア・バッグECUからCAN通信などを用いてエア・バッグ系統の故障が起こったことを計器盤（インパネ）に表示して運転者に知らせます．

　エア・バッグ・システム全体の制御としては，エア・バッグECUがセンサ・データを解析し，衝突を判定すると，衝突が発生した方向や衝突度合い，さらにバックル・スイッチや乗員の状態を考慮して，どのエア・バッグやシートベルトを制御するかを判断します．その判断に基づいて，エア・バッグなどの制御命令を発行します．