自動車のセーフティ機能の多様化に対応するセンサ・ネットワーク ――エア・バッグ・システムのワイヤ・ハーネスの低減と信頼性の向上を目ざす

古谷壽章

tag: 組み込み

技術解説 2005年12月28日

● 将来はセンサ系とスクイブ系の二つのバスを用いる

 最後に,ASRB2.0を用いた将来のエア・バッグ・システムについて述べておきます.

 将来のエア・バッグ・システムでは,メインECUから延びる複数のASRBバスが必要になると考えられています(図10).搭載されるセンサやエア・バッグの数,自動車メーカの考えかたにもよりますが,バスは大きくセンサ系とスクイブ系に分けられ,センサ系で2チャネル,スクイブ系で1チャネルの計3チャネル程度になると考えられます.

 センサ系は,前述のように衝突検出センサのデータを一定周期で取得しなければならないため,センサの接続数は通信速度に依存することになります.ASRB2.0は,一つのバス当たり最大6個の衝突検出センサを接続できる仕様となっています.また,センサは自動車全体を取り囲むように取り付けられるため,1本のバスで接続するよりも複数のバスで接続したほうが,ワイヤ・ハーネスの量が少なくなると考えられます.センサ系バスには,乗員検知センサやバックル・スイッチのセンサも接続されます.

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図10  将来のエア・バッグ・システム構成例
将来の高級車におけるエア・バッグ・システムの構成例(左ハンドルの自動車の例)を示す.高い衝突検出性能を得るため,エア・バッグ・システム用センサは自動車を取り囲むように配置される.また,エア・バッグの展開による乗員の2次被害を防止し,エア・バッグの性能を最大限に引き出すため,乗員検出センサなども各シートに取り付けられる.センサだけでなく,エア・バッグなどのスクイブ・ユニットも乗員を包むように配置され,さまざまな方向の衝撃から乗員を保護する.エア・バッグはシートベルトとの相乗効果によって乗員の被害を抑えるため,シートベルトの緩みを取り除き,乗員を最適な位置で拘束するシートベルト・プリテンショナなどもある.これらは,エア・バッグECUとASRBによって接続される.この図では,センサ系が2系統(図の紫色の線),スクイブ系が1系統(赤色の線)の計3系統を想定している.

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