Serial Attached SCSIとの共存を考慮したPCI Expressシステム設計 ――最大性能を引き出すためのバッファ,エラー制御,レイアウトの考えかた
● 一つのシステムに約16,000台のデバイスを接続可能
パラレルSCSIインターフェースの後継規格であるSerial Attached SCSIは,従来のSCSIによってすでに証明されている企業ストレージ・システムのための性能や拡張性,信頼性をさらに向上させています.Serial Attached SCSIの特徴は,例えば一つのシステム(SASドメイン)当たり最大16,256台のデバイスと接続可能であるとか,伝送速度が最大3Gbpsのポイント・ツー・ポイント接続が可能に なるといった,今日,主流のストレージ・システムにはない多くの機能を実現できることです.第1世代のSerial Attached SCSIのスループットは3Gbpsですが,今後,技術や応用分野の進化に合わせて最大12Gbpsの速度に対応する予定です.
Serial Attached SCSIの備える全二重通信のポイント・ツー・ポイント接続の特徴は,複数のイニシエータ(ホスト・デバイス)とハード・ディスク装置などのターゲット・デバイスの間の接続を同時に機能させることができる(複数のデバイスが並行動作する)点です.イニシエータとターゲット・デバイスの間では一度に双方向のデータ転送を行うため,リンク(双方向の差動信号対の束)の帯域幅を2倍にして利用できることになります.
Serial Attached SCSIは,エクスパンダ(ホストと周辺機器の中継用装置)を介して接続することで,システムのアクセス能力と接続性を向上させています.イニシエータとエクスパンダの接続には,ナロー・ポート(narrow
port)とワイド・ポート(wide port)という二つの方法があります(図1).ナロー・ポートでは1ポートは一つの物理リンク(双方向の差動信号線ペア.つまり,4本のワイヤ)に,ワイド・ポートでは1ポートが複数の物理リンクに対応します.ワイド・ポートの場合,八つのSerial Attached SCSIリンクによって,24Gbpsまで帯域幅を向上できます.