Serial Attached SCSIとの共存を考慮したPCI Expressシステム設計 ――最大性能を引き出すためのバッファ,エラー制御,レイアウトの考えかた
● スループットを最大にするためのバッファ構成
PCI ExpressとSerial Attached SCSIを組み合わせたシステムのスループットを最大にするためのポイントを以下に示します.
- 両者の帯域幅を合わせる
- 両者のリンク,内部バッファ,内部ブリッジにおけるI/Oのボトルネックを低減させる
PCI ExpressとSerial Attached SCSIのリンクはそれぞれ異なるデータ転送速度(ビット・レート)注6に対応しているので,その違いを管理するためにバッファはフレームの最大サイズのペイロード(送信データ部分)を一時的に格納できるようにしておく必要があります.また,インターフェースのフロー制御には,適切なバッファ・サイズを確保することが求められます.
Serial Attached SCSIのSSP(SAS SCSI Protocol)注7用のフレームのペイロード・サイズは最大1,024バイトです.送信時のSerial Attached SCSIリンクでは,通常,少なくとも二つのバッファを使用します.受信時には三つのバッファを使用します.Serial Attached SCSIのすべてのリンクに対応している場合,全バッファが使用状態になります.そのほかにもI/Oの使用状況やホストI/Oの分散・集中,フレーム・ヘッダのビルディング・デコーディングなどの情報を格納するためのバッファが必要となります.
PCI Expressフレームでは,異なる最大ペイロード・サイズを選ぶことができます.しかし,Serial Attached SCSIデバイスとのデータ転送を考えると,バッファ・サイズとPCI Expressのフレーム・サイズはSerial Attached SCSIに合わせる必要があるでしょう.そうすることで,同じフレーム数でそれぞれのリンク間を通信することができます.
注6;PCI Expressはx1リンクで片方向2.5Gbps,Serial Attached SCSIは1リンク当たり3Gbps.
注7;SSPはイニシエータとターゲット・デバイス(終端末)の間のシリアル・リンク上にSCSIプロトコルをマッピングするもの.