Serial Attached SCSIとの共存を考慮したPCI Expressシステム設計 ――最大性能を引き出すためのバッファ,エラー制御,レイアウトの考えかた
● リンクの配置配線に関する注意点
リンクのレイアウトを行う場合,差動スキュー,およびリンクの信号源から目的のレシーバまでの配線のインピーダンスを考慮する必要があります.
ディジタル・ドライバ回路は,プラスまたはマイナスの差動出力へのパスにおいてディジタル要素が多いため,スキューが発生しやすくなっています.また,そのことが差動ドライバのリンク信号に影響を与えます.アナログ・ドライバ回路の設計では,通常,プラスまたはマイナスの差動出力の遅延の低減について,さらに考慮する必要があります.チップのダイからパッケージへの接続については,インピーダンスを維持するように制御しなければなりません.ワイヤ・ボンドで接続されている場合はとくに気をつけなければなりません.
パッケージ基板(サブストレート)にはしばしば多層基板を用います.多層基板では,ビアや層間速度の違い,物理的なピン配置などに注意します.デバイスの製造メーカは,プリント基板を最適化するために差動リンクの信号の種類の一覧表をプリント基板設計者に提供する必要があります.
PCI Expressのワイド・リンクに対応したシステムを設計するとき,プリント基板からレシーバへのパスにおいてレーンの長さを補償することができます(図6).
図6 PCI Expressのリンク補償
x4リンクの場合の配線例を示す.ただし,ここではテクニックだけで,実際のレイアウトは示していない.PCI Expressの複数リンクは,いわゆるシリアル-パラレル・バスである.差動信号線ペアのスキューは最小化される.