Serial Attached SCSIとの共存を考慮したPCI Expressシステム設計 ――最大性能を引き出すためのバッファ,エラー制御,レイアウトの考えかた
対応するPCI Expressのリンク幅(レーン数)やSerial Attached SCSIのポート幅(リンク数)によって,最大帯域幅に必要なバッファ数が規定されます.例えば,PCI Expressがx4リンクの場合,水平方向に4バイト(ここでは,32ビット=1dword:double wordとする)分割された形で転送を行うことになります(図3).フレームを転送するために,それぞれの方向でコンテキスト切り替えが発生します.Serial Attached SCSIの場合,ポート幅に関係なくつねに垂直方向に分割された1dword単位で転送されます.Serial Attached SCSIにおけるコンテキスト切り替えは,Serial Attached SCSIの接続が確立されたときに発生します.Serial Attached SCSIの全二重通信を行っているときは,追加されたコンテキスト切り替えがそれぞれの方向で実行されます.このようにして,帯域の違いにかかわらず,PCI ExpressリンクがSerial Attached SCSIよりも4倍高速にフレームを転送できます.
PCI ExpressリンクからSerial Attached SCSIリンクへのデータ転送については,PCI Expressリンクで最大の帯域幅を得るために,より少ないバッファ数でより高速なフレーム転送が要求されます.PCI ExpressからSerial Attached SCSIへのデータ転送では,Serial Attached SCSIリンク用に二つのバッファが必要となります.
図3 フレーム転送の変換
PCI ExpressとSerial Attached SCSIの間のフレームの変換を示す.データの分割方法の違いによって,PCI ExpressのほうがSerial Attached SCSIよりも4倍高速にフレームを転送できる.