Serial Attached SCSIとの共存を考慮したPCI Expressシステム設計 ――最大性能を引き出すためのバッファ,エラー制御,レイアウトの考えかた
一方,逆方向の転送では,目標とする帯域幅に合致するように三つのバッファが必要です.x4のワイド・ポートにおいて,すべてのSerial Attached SCSIリンク(四つのリンク)がPCI Expressにフレームを送信している場合,Serial Attached SCSIリンク(x1で3Gbps)のデータ転送速度は,PCI Expressリンク(x1で2.5Gbps)のデータ転送速度を超えてしまいます.このオーバランを保証するために,複数のバッファを使わなければなりません.より高速なSerial Attached SCSIからのデータで満たされた一つのバッファは,低速なPCI Expressによってそれが空にされるまで利用できません(図4).高速レートにおいて,バック・ツー・バック接続注8のフレーム数を最小限にするため,リンクのデータ転送速度の違いや低速リンクにおけるフロー制御の遅延,内部I/O管理の遅延を補償するために十分なバッファを配置します.
注8;バック・ツー・バック接続とは,シリアル・インタフェースでルータなどを接続する方法.
図4 フレーム・バッファの利用
Serial Attached SCSIからのデータで満たされた一つのバッファは,低速なPCI Expressによってそれが空にされるまで利用できない.