需要が拡大する自動車制御OSを知る ――機能向上に対応するには開発効率向上が必須
現在の自動車制御では,搭載された多数のECUのうち,OSを利用しているものはごく一部である.しかし今後は,要求される性能の向上やECUの統合により,OSを必要とするECUが増えていくと考えられている.本稿では,自動車制御の現状と,自動車制御OSに求められる機能について解説する.また,欧州の自動車メーカなどによるプロジェクト「OSEK(オーゼック)/VDX」が策定した自動車制御OS仕様や,筆者らが開発した自動車制御用OS「TOPPERS/OSEK」について述べる. (編集部)
1.欧州主導で規格化が進む 自動車制御OS
現在の自動車には,ECU(electronic control unit)と呼ばれる自動車制御用のコンピュータが多数注1搭載されており,基本性能,環境性能,快適性能,安全性能などを実現するために必要不可欠な部品となっています(図1).
注1;2003年発売のある高級車には,約50個のECUが使われている.2007年には,75個の搭載が見込まれている.