需要が拡大する自動車制御OSを知る ――機能向上に対応するには開発効率向上が必須

服部博行,森川聡久

tag: 組み込み

技術解説 2005年3月 8日

● ECU統合によって保護機能が重要になる

 一方,将来的に必要性が高まる機能を考えるため,現在の自動車制御システムの問題点を振り返ってみましょう.自動車に搭載するECUの数が増えると,製造コストや設置スペース,ネットワーク配線の増大などが問題となります.この対策として,ECUを統合し,複数の機能を一つのECUで実現することが求められています(図7)

 また,ユーザ(社会)が求める制御品質や性能は年々向上しています.より高度な機能を実現するためにも,統合制御の必要性が高まっています.これらの傾向はいずれも,ECUを制御するソフトウェアの複雑化につながっています.複雑になった制御ソフトウェアを現状の開発手法で実現しようとすると,開発コストと品質が大きな問題となります.

 解決策として,標準化されたOSを利用することにより,同一ECU上でマルチベンダ製のソフトウェアが共存できる環境を整え,ソフトウェアの開発効率を上げることが考えられます.筆者らは,統合されたECUを制御する組み込みOSには,メモリ保護,時間保護,ECU間での通信同期機構(ネットワーク同期)などの機能が必須だと考えています.またこのほかに,ソフトウェアの品質を確保するためのテストのしくみも必要だと考えています.

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図7 エンジン制御用ソフトウェア階層構造図
1999年にトヨタ自動車は,従来個別のECUによって制御されていた各機能を,一つのECU上に構成した構造図を公表した.この図では,アプリケーション・プラットホーム層にてアプリケーションとECUのインターフェースを規定し,ソフトウェアの差し替えが容易になるように考慮されている.ただし,各機能が互いに影響を及ぼさないための機構は考慮されていない.

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