需要が拡大する自動車制御OSを知る ――機能向上に対応するには開発効率向上が必須

服部博行,森川聡久

tag: 組み込み

技術解説 2005年3月 8日

● 自動車制御に特化したOSEK-OS

 OSEK/VDXが策定したOS仕様(以下,OSEK-OS)は,自動車を制御対象とする,マルチタスク対応のリアルタイムOSです.自動車制御に必要な機能だけを備えるため,小型のECUや少量のメモリ資源で動作可能です.また,自動車のLAN規格として標準的に使用されているCAN(Controller Area Network)をOS仕様の前提条件にしています.このようにOSEK-OSは,疎結合のマルチプロセッサ構成をとる自動車制御注8に特化した仕様となっています(汎用性には劣る).

 OSEK-OSは,CPU時間やハードウェア資源の利用を最適化するため,構成情報(生成するタスクや優先度設定など)をコンパイル前に静的に指定する必要があります.具体的には,OSEK/VDXが策定したシステム記述言語仕様「OIL(OSEK Implementation Language)」に従ってオブジェクトの定義をファイル(OILファイル)に記述し,そのファイルを基に,システム・ジェネレータ注9と呼ばれるツールを使ってOSが必要とする情報(テキスト・ファイル)を生成します(図5).システム・ジェネレータはOSに依存するため,OSとセットで提供されます.

 注8;近年では,自動車制御以外の分野(とくに,CANなどの通信を必要とする建設機器分野,FA分野など)でも注目を集めつつあり,採用を検討する動きがある.
 注9;システム・ジェネレータは,システムの整合性チェックやシステム情報の整理といった,本来OS側で行うべき処理を担当する.これによりOSは処理を大幅に省略でき,性能を向上することができる.そのため,前処理で対応が可能なことはできる限りシステム・ジェネレータに実装するべきであり,システム・ジェネレータのソフトウェアは大規模かつ複雑になりやすい.

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図5 OSEKシステムの生成の流れ
システム・ジェネレータはOILファイルを読み込み,カーネルが必要とするファイルを出力する.これはコンパイルの前処理として行う.ユーザ・アプリケーション,OS,デバイス・ドライバのソース・コードといっしょにシステム・ジェネレータの生成ファイルをコンパイル・リンクすることで,最終生成物であるターゲット・オブジェクトを生成する.

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