つながるワイヤレス通信機器の開発手法(5) ――ハード/ソフトの切り分けとBluetooth新プロファイル
●Bluetoothベースバンド処理機能の設計例
これまで説明してきたハードウェアとソフトウェアの切り分けの具体的な例として,Bluetoothのベースバンド処理機能の設計について説明する.ここで紹介する設計例は,どちらかといえば製品初期のバージョンであり,開発コストの低減を目的としているため,以下のような思想に基づいて設計されている.
- ソフトウェアで実現できない高速な処理をハードウェアで行う
- 仕様が確定している処理はハードウェアで行う
- ソフトウェアで実現できるものはソフトウェアで行う
この思想に基づいて設計されたBluetoothベースバンド処理機能のハードウェアとソフトウェアの切り分けは表5のようになる.Bluetooth通信システムでは,625μsに1回,図1のように送信と受信を繰り返す.ハードウェアでは625μs未満の処理と,仕様が確定している処理を行う.ここで簡単にそれぞれの機能を説明する.
〔表5〕Bluetoothベースバンドでの切り分けの例
ハード ウェア |
625μs未満の処理 |
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仕様が確定している |
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ソフト ウェア |
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〔図1〕 Bluetoothベースバンドのデータの送受信
Bluetooth通信システムでは,625μsに1回送信と受信を繰り返す.