つながるワイヤレス通信機器の開発手法(5) ――ハード/ソフトの切り分けとBluetooth新プロファイル

太田博之

tag: 組み込み

技術解説 2003年3月25日

1.ハード/ソフト切り分けの具体的方法

 それでは,具体的にどのようにハードウェアとソフトウェアを切り分けるのか説明する.

 筆者がハードウェアとソフトウェアを切り分けるとき,以下の順序で考えることが多い.

  • 応答時間を考慮した切り分け
  • 開発コストを考慮した切り分け
  • 製品コストを考慮した切り分け

 応答時間を考慮した切り分けは,「機能を実現できるか,できないか」というように一義的に決まる場合が多い.しかし,ほかの2点はハードウェアとソフトウェアのどちらで実現してもよい場合が多い.ただし,開発コストや製品コストを考慮した切り分けは,トレードオフの関係にあるので熟考が必要である.これらの事項について,ハードウェアで実現した場合とソフトウェアで実現した場合の特徴を表2に示す.

 応答時間については,上述のように機能実現にかかわる項目なので,この部分のみで「ハードウェアにするか?ソフトウェアにするか?」が一意に決まる.例えば,無線通信の場合,ほとんどの仕様に変調と復調という機能がある.無線通信を行う際,データを電波にのせて相手に送り込まなければならないが,このときデータを無線に適した形に変換することを「変調」と呼び,受信した電波からもとのデータを取り出すことを「復調」と呼ぶ.この処理は,データの数倍の速度で実行する必要がある.例えば,ワイヤレスLANの一種であるIEEE802.11bの場合,データ転送速度は11Mbpsなので,22MHzか44MHzの周波数で処理を行う必要がある(表3).ソフトウェアではこのような速度で処理できないので,ハードウェアを使う以外の選択肢はない.

〔表2〕切り分け時に考慮すること

 
ハードウェア
ソフトウェア
応答時間
速い
遅い
開発コスト
大きい
小さい
製品コスト
小さい
大きい

〔表3〕各通信規格のデータ転送速度

通信規格
データ転送速度
PDC(Personal Digital Cellular) 42kbps
Bluetooth 1Mbps
IEEE 802.11b(ワイヤレスLAN) 11Mbps
IEEE 802.11a(ワイヤレスLAN) 54Mbps
組み込みキャッチアップ

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