つながるワイヤレス通信機器の開発手法(5) ――ハード/ソフトの切り分けとBluetooth新プロファイル
●Basic Printing Profile
Basic Printing Profileは,携帯電話やPDAなどに搭載されるプロファイルである.これらの機器はCPUもメモリも貧弱なため,パソコンのようにプリンタごとに対応したプリンタ・ドライバを持つことができない.Basic Printing Profileは,プリンタ・ドライバを持たなくてもすむように構成されており,回路やプログラムの規模を小さくすることができる.
このプロファイルは,図5の中の"Generic Object Exchange Profile(GOEP)"をベースに実現されている.このプロファイルでは,図6のように,プリントするデータを送る側(携帯電話やPDAなど)を"Sender",そのデータを受けてプリント・アウトする側を"Printer"と定義する.
Basic Printing Profileには,プリント・アウトのフォーマット指定方法により,以下の3種類の通信方法が規定されている.
- プリンタ側の設定をそのまま使用する"Simple push transfer"
- Internet Printing Protocol(IPP)モデルに基づく指定方法を用いて,プリンタの書式設定付きでプリント・アウトする"Job based transfer"
- HTMLなどのMarkup言語によって書式付きプリント・アウトを行う"Reflected UI based transfer"
(a)プロファイルの構造
プロファイル名
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内 容
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Generic Access Profile | Bluetoothの基本プロファイル.すべてのBluetooth対応機器は,このプロファイルに対応している. |
Service Discovery Application Profile | Bluetooth対応機器がサポートしているサービスを検索するためのプロファイル.機器自身が通信相手を見つけるために利用することもできる. |
Hardcopy Cable Replacement Profile | パソコンのプリンタ・ケーブル(IEEE 1284準拠)の機能の置き換えを実現するプロファイル. |
Serial Port Profile | Bluetooth対応機器を仮想シリアル・ポートにするためのプロトコルなどを規定している. |
Generic Object Exchange Profile | Bluetooth対応機器の間でデータ交換を行うためのプロトコルなどを規定している. |
Basic Printing Profile | 携帯電話やPDAなどに搭載されるプロファイル.プリンタ・ドライバを持たなくてもすむように構成されている. |
(b)プロファイルの内容
〔図5〕プリンタ関連プロファイルのスタック構造
Bluetoothの基本となるプロトコル・スタックであるGAP(Generic Access Profile)の上に,いろいろなプロファイルが載っている.灰色で示されているのが新プロファイル.
〔図6〕"Sender"と"Printer"
Basic Printing Profileでは,プリントするデータを送る側を"Sender",そのデータを受けてプリント・アウトする側を"Printer"と定義する.