組み込みシステム設計者のためのLIN2.0マイコン実装術(中編) ――使用するCPU性能に応じたオプション選び
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コンフォーマンス・テスト
「仕様どおり作ったはずなのに通信できない」,「ときどき動作がおかしい」といったことを防ぐため,LINプロトコルにはコンフォーマンス・テスト(conformance test)という第三者認証制度があります.
プロトコル仕様に対応したコンフォーマンス仕様に基づき,物理層やデータリンク層,ノード・コンフィグレーション,EMC(electro magnetic compatibility)の各項目について検査が行われます.これによって,各ECU(ノード)は一つの基準で判断された品質を保証できます.
LINのコンフォーマンス・テストでもっとも有名な認証機関は,ドイツFachhochschule Wolfenb殳tel大学の研究組織C&S(Communication & Systems Group)であり,国内ではアドバンスド・データ・コントロールズ(ADaC)がサービス窓口を開いています(写真A-1).
通常,検査対象はLINに接続する装置(ECU),あるいは通信回線のドライバ回路(物理層)です.特殊な例として,ドライバ・ソフトウェア(データリンク層)を検査対象とすることも可能です.この場合,ドライバ・ソフトウェア単体では動作しないので,専用の動作プラットホーム(マイコン基板)やコンパイラ類など,開発環境一式で検査を依頼します.アプリケーションに相当するテスト・プログラム(LIN仕様のAPIに準拠してドライバ・ソフトウェアを呼び出すプログラム)はC&Sが用意します.対象物の挙動などについて依頼者とのレビューを行いながらの作業となるため,一般にテスト期間としては4~5週間は必要です.また資料によれば,ファーストラン(初めてのテスト)で合格する確率は75%以下だそうです.