組み込みシステム設計者のためのLIN2.0マイコン実装術(中編) ――使用するCPU性能に応じたオプション選び
● イベント・トリガ・フレームのエラー状態に注意
"STATUS MANAGEMENT"の章では,動作中のエラー検出のためのしくみについて規定しています.この規定は,次の二つを実現することを目的としています.
- 故障ユニットを容易に取り替えられるようにする
- 障害時にノードがlimp home modeに入るようにする
"limp home mode"は聞き慣れないことばですが,これは動作クロックを落としたり,重い処理を止めたり,通信に最低限必要な機能以外を停止したりすることでなんとか障害をマスタに伝えたりする,クラスタとしての非常時動作仕様です.
最初にコンセプトが記載されています.そこでは,マスタがクラスタのステータスを管理することと,各ノードがLINバス上の通信をモニタすること,それによって自身の動作不良を発見して対処する(limp home modeになる)としています.
次の注意事項では,イベント・トリガ・フレームにおける衝突時に,フレーミング・エラーが起こったからといって,それをエラーと判断してはならないとしています.なぜなら,LIN 2.0ではイベント・トリガ・フレームでバスの衝突を許容しているからです.
具体的なエラー・レポートについても規定されています.各スレーブは,Response_Errorというビットを送信フレーム(レスポンス)に入れることで,検出したエラーをマスタにレポートします.このResponse_Errorのビット位置は,ノード記述によって設定できるようになっています(詳細は仕様書群の中の"Node Capability Langu-age Specifi cation"で規定).