組み込みシステム設計者のためのLIN2.0マイコン実装術(中編) ――使用するCPU性能に応じたオプション選び

舘 伸幸

tag: 組み込み

技術解説 2006年1月17日

● 三つの診断方法が規定されている

 本仕様書の第3章では,ノードの診断情報を収集する方法が規定されています.三つの方法が記載されていますが,すべてオプションです(実装が必須ではない).

 まず一つ目は,"SIGNAL BASED DIAGNOSTICS"です.これは,通常の無条件フレームを使って診断情報の送信を行う方法です.診断のための特別な処理が不要であり,スレーブ・ノードにとってオーバヘッドが低いという利点があります.その一方で,扱うデータは(無条件フレームの)フレーム構造で制限を受けます.

 二つ目はユーザ定義の診断フレームです.診断フレームの構造は,表3に示したとおりです.1バイト目のNADに未定義の128(0x80)以上の値を割り振ることによって,自由に使うこともできます.しかし,LINノードとして標準から外れてしまうので,仕様書上では一つ目の信号ベースの診断が推奨されています.

 三つ目の方法として,LIN診断トランスポート(DIAG-NOSTIC TRANSPORT LAYER)の使用が挙げられます.これは,図11のようなCANのバックボーン・バスにLINクラスタが接続されていて,LINスレーブでISO診断注7を直接実行させたい場合に用いられます.この場合,スレーブ・ノードには診断を実行できるだけの処理能力が必要となります.マスタはゲートウェイ動作を行います.

 注7;ISO15765-2.4,ISO15765-3.5を参照.

f11_01.gif
図11 診断トランスポート層使用環境の例
マスタはCAN-LINゲートウェイとして動作し,LINスレーブはCANノードと同等の診断動作を行う.

参考・引用*文献
 (1) * LIN Consortium;LIN Specification Package Revision 2.0,Sept 2003.


たち・のぶゆき
NECマイクロシステム(株)
<筆者プロフィール>
舘 伸幸.組み込み系ソフトウェア・エンジニア.1983年入社以来,デバイス会社でソフトウェアひとすじ.

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