組み込みシステム設計者のためのLIN2.0マイコン実装術(中編) ――使用するCPU性能に応じたオプション選び
3) スポラディック・フレーム(sporadic frame)
スポラディック・フレームは,マスタからの散発的な要求をスレーブに伝えるためのしくみです.
仕様書には,スポラディック・フレームはかならずデータを搬送すると記述されています注5.特定のIDに割り当てられた信号に変更があった場合,マスタはそれを検知した時点でもっとも近い空きスロットを使い,スポラディック・フレームでクラスタに送信します.では,スポラディック・フレーム用にあらかじめフレーム・スロットを用意しておく必要があるのでしょうか.これについては,後で詳しく述べます.
また,通常のケースとして複数のスポラディック・フレームが同じフレーム・スロットに割り当てられている場合の規定もあります.つまり,変更を通知するべき信号を含むスポラディック・フレームは複数あっても,スポラディック・フレーム用のスロットは1種類だけ用意する場合です(図8).そもそも頻繁に発生することがわかっているなら,無条件フレームでスロットのプランを考えておくべきなので,これで十分なのでしょう.たまたま同時に複数のスポラディック・フレームを使用する信号の変更があった場合,それらの信号の優先度に従って送信します.
注5;例えば,イベント・トリガ・フレームでは,ヘッダのみでレスポンス(データ)がない場合もある.