時刻認証と連携可能な通信プロトコルをRFIDタグに応用 ――「時」をめぐる新しいビジネスと技術を開拓する
● 国内における時刻配信,認証サービスの状況
国内において標準時を定めているのは,独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)です.この機関では,セシウム原子時計を複数稼働させ,平均・合成することによって日本標準時を作り出しています.この日本標準時がさまざまな通信手段で配信されることによって,私たちが利用できるようになっているのです.
かつては,短波標準電波によって時刻が配信されてきました(2001年3月閉局).現在,その役目は長波標準電波に引き継がれています.一方,放送局などの高精度の日本標準時が必要な用途には,「テレホンJJY」と呼ばれる電話回線を使った時刻供給サービスが行われています.この方法は,電話回線とモデム信号によって通信を行うので,パソコンとモデムとアナログ電話回線があれば,数ms~数十msの精度で日本標準時を取得することができます.また,インターネットを通じて,NTP(Network Time Protocol)による日本標準時の提供についても実験中です注1.
「時刻認証」については,現在,各社(アマノ,セイコーグループ,丸文など)がサービスを開始しています.現在のところ,時刻認証事業者はそれぞれのポリシにおいて時刻を維持,運営しています.しかし,将来的には日本標準時を維持運営するNICTと密接に連携できる基盤が整備され,国家標準に対するトレーサブルな(精度や整合性が明確化された)システムが構築されることが期待されます.
注1;詳細は,独立行政法人 情報通信研究機構 日本標準時グループのホームページ(http://jjy.crl.go.jp/)を参照のこと.