時刻認証と連携可能な通信プロトコルをRFIDタグに応用 ――「時」をめぐる新しいビジネスと技術を開拓する
● 「時間」という切り口で新しいビジネスを考えてみよう
ほかにも,いろいろな応用が考えられます.本製品に対して,特に市場からの要望が多いのは,次のような機能です.
- 電池レス――太陽電池,振動発電,温度差発電,電磁結合給電などの応用
- 小型・軽量化――機能モジュール化による,さらなる小型化,薄型化
- 多機能化――現在備えている,測定,蓄積,表示,通信以外の機能追加
- 用途特化――高温多湿,水没,極低温,強振動などへの対策
これらの機能はすべてこれまで時計技術で培ってきた技術に非常に近い内容です.よって,こうした市場の要望は近い将来,かならず実現できると筆者は考えています.
「時刻」と「時間」という切り口から,今日の時計を取り巻く環境,システムの同期,無線ネットワークからその技術の応用面までを,広く浅くではありましたが紹介してきました.みなさんも,ふだん何げなく見ている時計の秒針の動きの中に,新しい技術シーズやビジネス・チャンスがあることをご理解いただけたら幸いです.
参考・引用*文献
(1) * 独立行政法人 情報通信研究機構 日本標準時グループのホームページ,http://jjy.crl.go.jp/
(2) タイムビジネス推進協議会のホームページ,http://www.scat.or.
jp/time/
(3) 電気・情報設備要覧(2003),産業調査会,2003年.
まつい・ゆきお
セイコープレシジョン(株)
<筆者プロフィール>
1987年,精工舎入社.BiCMOSプロセスおよびLSI,センサ用LSI設計業務,設備時計開発を経て,現在,セイコープレシジョンの新事業企画・立案業務に従事.