時刻認証と連携可能な通信プロトコルをRFIDタグに応用 ――「時」をめぐる新しいビジネスと技術を開拓する

松井 幸夫

tag: 組み込み

技術解説 2004年7月28日

 まず,タグとしての利便性を上げるため,一定時間ごとにタグ(端末)側からの指示要求の時間帯を設けます.新規参入タグは,この時間帯を使って「TimeLinkネットワーク」に入ります(図6).ここで,時計のための時刻データとともに,タグに必要な各種のデータを送受信させます.また,親機から特定のタグへの通信の場合は,タグの不要な電力消費を抑えるために,通信ターゲット・スケジュールの配信を定期的に行っています.

 こうして,タグの要求仕様を満足しつつ,新しい付加価値が生まれました.その付加価値とは次のようなものです.

  • 非常に大規模な同期システムに拡張可能――同期の基準に日本標準時を採用しているので,遠隔地の別システムと容易に同期できる.
  • 省電力――時刻制御を用いて必要最小限の通信に抑えることで省電力となる.単4電池3本で3~5年の動作が可能.
  • 日本標準時によるデータ・ロギングが可能――タグ自体が正確な日本標準時を持っており,取得したデータの時刻パラメータを実時刻としてそのまま利用できる.また,これらの時刻を認証することもできる.

 これらのいずれもが,従来は実現困難,もしくは存在しなかった機能といえます.したがって,これまで考えられなかった用途が今後出てくると予想されます.現在,考えられている用途は,次に示すようなものです.

  • 食品や薬品などの流通におけるトレーサビリティ基盤
  • ビニールハウスなどの温度管理
  • 工場の機器や部品管理
  • 大規模な領域の無線式セキュリティ・ネットワーク
  • 空調機器の電波式リモコン
  • 車両などの移動体の位置管理

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図6 RFセンシングTAGの通信イメージ
TimeLinkを使った通信により,データ通信と同時に時刻同期が行われる.これによって低消費電力化を図ることができる.

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