時刻認証と連携可能な通信プロトコルをRFIDタグに応用 ――「時」をめぐる新しいビジネスと技術を開拓する

松井 幸夫

tag: 組み込み

技術解説 2004年7月28日

● 時計の誤差を修正する

 今度は,身近にある時計について考えてみましょう.ひと言で時計と言っても,掛け時計や目覚まし時計のように「時刻」を知るためのものと,ストップ・ウォッチやタイマのように「時間」を計るためのものがあります.一般的な水晶振動子を使った時計では,1ヵ月に数秒~数十秒の誤差が発生します.よって,結果的にではありますが,前に述べた「時間」と「時刻」の違いを気にする必要はありません.

 では,原子時計の精度を掛け時計で実現したら....これは,一般用途ではあまり意味がありません.なぜなら,いくら時間精度が向上しても,「時刻」が人工的に決められている以上,時刻を知る用途の時計は協定世界時または日本標準時に追従するための「修正」が必要になるからです.

 そこで一般的な時計では,水晶振動式の時計になんらかの通信手段で,協定世界時もしくは日本標準時の情報を入手し,定期的に累積誤差を修正する構成のものが多くなっています.

 現在,設備時計の時刻の修正に使われる方式の主なものを表1に示します.それぞれ特徴があり,また使いかたによっても重視される内容が異なるので,用途や製品によって使い分けているのが現状です.

表1 設備時計に使用されている主な時刻修正システム
各方式ともそれぞれ特徴があり,用途や製品によって使い分けている.

方 式
ラジオ時報
長波JJY
GPS
テレホンJJY

信号媒体 FM,テレビ(HF帯)
一般放送
JJY(長波帯)
専用電波
1.5GHz帯
専用電波
電話回線
情報内容 なし
(正時同期信号のみ)
JST年月日時分秒,うるう秒,サマー・タイムなど UTC年月日時分秒
(年は19年でロール・オーバ)
JST年月日時分秒
うるう秒,サマー・タイム
情報取得時間 なし 3分~5分 10秒(s)~15分
(コールド・スタート)
40s程度
修正可能誤差範囲 ±1s~±30s 無制限 無制限 無制限
実用時刻精度 ±100ms ±100ms ±数μs~±100ms
(通信方式による)
±1ms~±10ms
受信可能地域 日本全国の都市部 日本全国
アンテナは屋外設置
全世界
アンテナは屋外設置
(上空が2/3以上見える場所)
電話回線のある場所
感度 弱電界対応可能
(アンテナ,ブースタ)
ノイズの影響がある
(弱電界)
建物,水分が電波遮へい物となる
(植物や積雪もNG)
感度問題がない
信頼性 受信安定性は高いが,原理的に誤動作の可能性あり 受信安定性は高い
(直接波受信のため)
移動体でない限り,安定度は高い 信頼性が高い
必要設備 FMアンテナ
(専用ジャックの場合)
アンテナ
(受信機に内蔵)
アンテナ
延長する場合はブースタ
電話回線
ランニング・コスト 無料 無料 無料 有料(通信料)
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