時刻認証と連携可能な通信プロトコルをRFIDタグに応用 ――「時」をめぐる新しいビジネスと技術を開拓する

松井 幸夫

tag: 組み込み

技術解説 2004年7月28日

 そこで,時間の基準そのものは国際原子時に任せ,世界時の一つ(UT1)との誤差が0.9秒以上にならないように1秒を挿入または削除して作られた時系を,「協定世界時(UTC:Coordinated
Universal Time)」として定めています.この調整のための1秒を「うるう秒」と呼びます.

 うるう秒は,1972 年の特別調整以降に導入されました.この導入から現在までは,すべて協定世界時にうるう秒を挿入する調整でした(図1).この結果,現在,協定世界時は国際原子時に対して32秒遅れています(コラム「うるう秒の瞬間は何秒?そのとき,時計は?」を参照).

 これとは別に,地球の公転周期が,自転周期をもとに決めた時間の365日間ちょうどではないことを補正するのが「うるう年」です.

 公転周期と自転周期の関係は「公転周期=365.2422×自転周期」で求まります.

 そこで,年の区切りを地球の公転に合わせるため,4年に1度,うるう年として1日を挿入して1年を366日とするのです.ところが,これを続けていくと,今度は時間を足し過ぎてしまいます.そこで,「100年に1回はうるう年がなし」,さらに,「400年に1回はうるう年があり」という調整を行います.

 わたしたちが日常の生活の中で基準としている時刻は「日本標準時(JST:Japan Standard Time)」ですが,これは基本的には前に述べた協定世界時に9時間を足した時刻です.よって,協定世界時,日本標準時ともに地球の自転や公転に合わせている,いわば「人工的な時系」なのです.

 ここまでの説明でおわかりいただけたでしょうか.つまり,「時間」は定量的に定められた,非常に厳密な値です.これに対して,「時刻」は自然を相手に受動的に定めている値であり,これらは最初に述べたような単純な関係ではありません.

f01_01.gif
図1 TAI,UT1,UTC の関係と,うるう秒調整(1)*
時間の基準である国際原子時(TAI)は定量的だが,時刻の基準である協定世界時(UTC)は地球の運行に合わせるように決められている.

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日