2.5G/3G携帯電話の要素技術 ――通信以外の機能が充実し,複合サービス端末へ変身
●Bluetooth通信:自動車で普及すれば携帯も採用か?
Bluetoothは携帯電話などに搭載されることを想定してEricsson社やNokia社などが策定した近距離無線通信方式です.しかし,Bluetooth通信機能が搭載された携帯電話は,まだ非常に少ないのが現状です.
携帯電話でBluetooth通信が普及していない理由としては,「モジュールや部品が高価」,「良いアプリケーションがない」,「つながる相手が少ない」といったことが挙げられます.こうした理由により普及が遅れているBluetooth通 信ですが,2003~2004年にはBluetooth車載ハンズフリー・キットが一部の自動車に標準搭載されるもようであり,そのときにはBluetooth通信機能を搭載した携帯電話が増えてくることが考えられます(コラム「自動車や遠隔測定装置に携帯電話が付けば事業者はウハウハ」を参照).
また,米国Qualcomm社のcdmaOne用LSI「MSM5500」にはBluetooth用のディジタル信号処理回路が内蔵されており,外部にRFモジュールを接続すれば,そのままBluetooth通信機能を実現できるようになっています.Qualcomm社はこのしくみを実現するため,ディジタル信号処理回路とRFモジュールの間のインターフェース規格「BlueQ」を規定しています.BlueQ準拠のRFモジュールは村田製作所や京セラなどが発表しています.図6にBluetooth通信とGPS機能を備えた携帯電話のブロック図を示します.Bluetoothベースバンド・プロセッサはBluetooth通信機能を,gpsOneプロセッサはGPS(Global Positioning System)機能を実現する回路です.
Qualcomm社はLSIだけでなく,このLSIと組み合わせて使用するBluetooth用のプロトコル・スタック「BREW(Binary Runtime Environment for Wireless)」も用意しています注5.Qualcomm社のLSIを利用してBluetooth通信機能付き携帯電話を開発すると,開発費を削減できることが容易に想像されます.
注5;BREWの概要については「http://www.qualcomm.com/brew2001/about/index.htm」を参照.
〔図6〕Bluetooth通信とGPSの機能を備えた携帯電話のブロック図
Qualcomm社のcdmaOne用LSI「MSM5500」を用いた回路例.Bluetoothベースバンド・プロセッサはBluetooth通信機能を,gpsOneプロセッサはGPS機能を実現する回路である.