3D画像圧縮や拡張現実,業務支援アプリなど,スマホやタブレット向けのシステム開発に注目 ―― モバイル&ソーシャルWEEK 2012 / スマートフォン&タブレット2012夏

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2012年8月 1日

 2012年7月24日~26日の3日間,六本木アカデミーヒルズ49(東京都港区)にて,スマートフォンやソーシャル・メディア向けのサービスの開発者や提供事業者などが集まるイベント「モバイル&ソーシャルWEEK 2012 / スマートフォン&タブレット2012夏」が開催された(写真1).開催期間中の3日間に,六つのキーノート・スピーチと61の専門セミナが行われた.主催は日経BP社.

写真1 受付の様子

 

 

●Googleが注目する「ソーシャル」,「ローカル」,「モバイル」

 開催2日目の7月25日のキーノート・スピーチでは,グーグル 代表取締役の有馬 誠 氏が登壇し,「グーグルが考えるマーケティング近未来図 ~スマホ,ソーシャル過半時代は間近に~」というテーマで講演した(写真2).スマートフォンのシェアが従来型の携帯電話を上回り,ソーシャル・メディアの利用者がネット利用者の半数を超える日がここ数年で訪れる.いつでもどこでも手軽に情報の収集や共有が可能になることで,性別,世代,地域を問わず消費行動が大きく変化する.これにより,企業のマーケティング活動も大きな変革を迫られると同時に,顧客と密接な関係を築く新たなチャンスでもあるという.

 

写真2 グーグル代表取締役の有馬 誠 氏

 

 

 有馬氏は,このような変化に対して企業がどのように対応するべきなのかについて,Google社のサービスや今後の戦略,企業の事例などの話題を折り込みながら説明した.講演の中で同氏は"SoLoMo"というキーワードを掲げ,その根底に流れるサービスが同社の「Google+」であると述べた."SoLoMo"とは,Social,Local,Mobileの頭文字をつないだ言葉である.

 Socialについては,企業とユーザの結びつきが重要であるとし,広告コミュニティの形成が今後の重要な課題になるという.

 続くLocalについては,地域情報の重要性を同社のサービス「Google Place」を例に説明した.例えばレストランを探そうとする場合,もちろんWebサイトでも検索できるが,そこに友人などのコメントがあると,さらに信頼性のある情報になるとし,ここでも「Google+」と連動する同社のサービスの優位性をアピールした.

 最後のキーワードであるMobileについては,最近のタブレット普及率の上昇に注目することが重要であるとし,特に家庭内のモバイル・ユーザの取り込みが鍵になると述べた.「タブレットの方がパソコンよりも物が売れる」という傾向も出始めているという.その際に企業側は,タブレット用のサイトを用意するべきだとし,同社ではこうしたサイト構築の支援サービスを行っていることを付け加えた.

 講演の最後に,Google+から利用でき,最大10人でビデオ・チャットが行えるサービス「ハングアウト」のデモンストレーションを行った.本サービスでは,業務を効率的に行うアプリケーションも提供されており,画面の内容の共有やドキュメントの共同編集なども行えるという.

 

●マーカー不要の拡張現実アプリを開発

 日本写真印刷は,マーカーレスでAR(Augmented Reality;拡張現実)を実現するシステム「マーカーレスAR」のデモンストレーションを行った.従来のARは,マーカーを読み取って情報を表示することが多い.同社の方式では,印刷物に特殊なポイントを印刷することで,ARを実現している.例えばカタログなどの印刷物のデザインを変更することなく,スマートフォンやタブレット端末の画面に関連する3Dコンテンツを表示できる.主に商品パッケージなどと組み合わせて,商品の特徴を訴求する用途で使われることを想定している.

 デモンストレーションでは,屋外広告で利用された事例やトレーディング・カード・ゲーム「Force of Will」のプロモーションに利用された事例を紹介した.後者の事例では,iPadやiPhone,Android端末に専用のアプリケーション「FOW AR」(開発元はベネフィシャルテクノロジー)をインストールし,「Force of Will」のカタログに端末を向けると,画面上に聖剣が表示されるようになっていた(写真3).

 

写真3 日本写真印刷の「マーカーレスAR」のデモンストレーション

画面上に聖剣が表示されている.

 

 

●透過度やテクスチャなど,多様な手法を組み合わせて画像を圧縮

 ウェブテクノロジ・コムは,ソーシャル・コンテンツ向けの画像最適化ツール「OPTPiX imesta 7 for Mobile&Social」を展示した(写真4).本ツールは,アルファ・チャネル対応減色機能,テクスチャ圧縮機能,JPEG不要ヘッダ削除機能,16ビット形式画像への変換機能,PNGファイル・サイズ縮小機能などを備えている.対応OSはWindows 7/Vista/XP.

 

写真4 ウェブテクノロジ・コムの「OPTPiX imesta 7 for Mobile&Social」

 

 

 アルファ・チャネル対応減色(アルファ・ブレンディング減色)機能は,透過度を示すアルファ値付きのパレットを生成して減色する.半透明の画像について,画質を落とさず,ファイル・サイズを約1/4に圧縮できる.

 テクスチャ圧縮機能は,iOSやAndroidの上で動作する3Dゲーム・アプリケーション向けである.PVRTC(PowerVR Texture Compression)やETC(Ericsson Texture Compression)1に対応したテクスチャのデータ圧縮を行える.ETC1については,GPUの機能をフルに利用して高速な圧縮が行える.

 JPEG不要ヘッダ削除機能は,JPEGファイルから通常の画面表示に使用しないヘッダ情報(EXIF,カラー・プロファイル,GPS情報など)を可能な限り削除する.変わるのはヘッダ情報だけで,画像データそのものは変化しない.

 16ビット形式画像への変換機能は,32ビット形式や24ビット形式のダイレクト・カラーの画像データを16ビット形式(ARGB4444,ARGB1555,RGB565)に変換する.変換後の画像データはPVR形式で保存できる.Unity向けのテクスチャを作成する場合,ARGB4444形式およびRGB565形式へ変換してから本機能を適用する.

 

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