2.5G/3G携帯電話の要素技術 ――通信以外の機能が充実し,複合サービス端末へ変身
●ディジタル・カメラ:画像センサと圧縮技術で実現
携帯電話の機能の中で,エンド・ユーザにとってもっともわかりやすい機能がこのカメラ機能です.カメラ機能はイメージ・センサと呼ばれるハードウェアと,保管やメール転送のためのデータ圧縮ソフトウェアによって実現されています.
イメージ・センサには,CMOSセンサとCCD(charge coupled device;電荷結合素子)センサがあります.それぞれの特徴を表2に示します.これまでCMOSセンサは,CCDセンサと比べて画質が悪く,感度も低いと言われてきました.しかし,最近ではCMOSセンサの性能が改善し,携帯電話のカメラにCMOSセンサを採用するメーカが増えています.
カメラの機能を語るとき,イメージ・センサの画素数がよく引き合いに出されます.現状の画素数は,上位機種が31万(640×480),それ以外の機種が11万(352×288)となっています.ディジタル・カメラ製品と同様に,携帯電話のカメラの画素数も今後増えていくようです.2003年後半には100万画素(いわゆるメガ・ピクセル)を超える携帯電話向けセンサ・モジュールが出荷されるようで,それを搭載した携帯電話が市場に出回るものと思われます.
J-フォンの「ムービー写メール」に代表される動画の取り込みは,静止画の場合と同じイメージ・センサを使って行います.この場合,1秒間に複数の静止画を連続撮影し,それをつないで動画のように見せています.携帯電話で使われているイメージ・センサは30フレーム/s(fps)の速度で取り込む能力を持っていますが,現在の動画の取り込みは15フレーム/s程度で行われています.CMOSセンサはCCDセンサに比べて消費電流が小さいので,連続動作が必要になる動画の取り込みに向いています.
〔表2〕CMOSセンサとCCDセンサの比較
センサの方式
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サイズ
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消費電力
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コスト
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チップ構成
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CMOS |
小さい
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低い
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小さい
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2チップ
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CCD |
大きい
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高い
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大きい
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4チップ
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