2.5G/3G携帯電話の要素技術 ――通信以外の機能が充実し,複合サービス端末へ変身
同様のトレンドに従った製品として,米国Texas Instruments(TI)社の「OMAP」と米国Intel社の「Xscale」などがあります.TI社はOMAPを発売する以前から2G携帯電話向けにベースバンドLSIを供給していました.その延長線上でOMAPチップを開発しているため,OMAPチップにはコミュニケーション・プロセッサの機能も取り込まれています.また,CPUコアにはARM9を利用しています.
Xscaleは携帯電話よりもPDAへの採用が先行しています.近い将来,携帯電話の機能とPDAの機能がほぼ一致したときに,携帯電話向けのアプリケーション・プロセッサとして注目を集めることになると筆者はみています.それぞれのプロセッサの特徴を表4にまとめます.
〔表4〕携帯電話用アプリケーション・プロセッサの例
プロセッサ名
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開発元
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対 象
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備 考
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SH-Mobile | 日立製作所 | 2.5G,3G | アプリケーション・プロセッサの業界標準を目指す |
OMAP | Texas Instruments社 | 2.5G,3G | 2G用チップ・セットをベースにC-CPU機能を取り入れる |
Xscale | Intel社 | 3G | PDA向けとして売り込み,将来は携帯電話向けにも展開 |
参考・引用*文献
(1) 「加賀電子とリンク・エボリューション,赤外線通信用IC開発」,『日経産業新聞』,日本経済新聞社,2002年10月9日.
おおた・ひろゆき
加賀電子(株)
◆筆者プロフィール◆
太田博之.20年近くにわたりGPS,携帯電話,ワイヤレスLAN,Bluetooth用システムおよびシステムLSI開発を経験.現在はBluetooth開発アライアンスhimicoプロジェクト(http://www.himico.com/)にコーディネータとして参加.システムLSI開発から次のフェーズへのステップアップを模索中.趣味は,あまたある標準通信規格をだれよりも早く理解すること.