2.5G/3G携帯電話の要素技術 ――通信以外の機能が充実し,複合サービス端末へ変身
●アプリケーション&コミュニケーションの2CPU構成へ
ここまで,2.5G/3G携帯電話が備える各機能の実現方法について紹介しました.最後に,これらの実現方法のうち,ソフトウェアをどのようなプロセッサで実行するのかについて説明しておきます.
2Gのころの携帯電話が内蔵するプロセッサは,「1CPU(汎用マイコン)+1DSP(ディジタル信号処理プロセッサ)」という構成が一般 的でした.CPU上でアプリケーション,ユーザ・インターフェース,通信制御ソフトウェアの処理を行い,DSP上で音声CODEC(V-SELP,QCELP,EVRCなど)の処理を行っていました.
2.5G/3G携帯電話では,前述のように,多くのアプリケーションを処理する必要があるため,CPUがもう一つ追加されるというケースが多くなりそうです.CPUを2個使用する場合,一方の「コミュニケーション・プロセッサ(C-CPU)」で通信制御ソフトウェアの処理を行い,もう一方の「アプリケーション・プロセッサ(A-CPU)」でアプリケーションやユーザ・インターフェースの処理を行います.アプリケーション・プロセッサは画像処理やそのほかの新規のアプリケーションに,随時対応していく予定です.
例えば,アプリケーション・プロセッサの例として,日立製作所の「SH-Mobile」があります.現在出荷されているSH-Moblie 1はSH3-DSPをコアとしており,さまざまなミドルウェアが動作するようになっています(表3).今後登場する製品ではSH-Mobile 1においてミドルウェアで実現している処理を専用ハードウェア(アクセラレータ回路)で実現し,高速化,低消費電力化を進めるそうです.
〔表3〕SH-Mobileに対応したミドルウェアの例
供給メーカ
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ミドルウェアの種類
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フュートレック | ソフトウェアMIDI音源 |
ケイ・ラボラトリ | FLASHプレーヤ |
タオ・ジャパン | Java仮想マシン |
ナビ・タイム | ナビゲーション |
エイチアイ | 3次元グラフィックス・エンジン |
アプリックス | Java仮想マシン |
アクセス | Webブラウザ |
日立製作所 | MPEG-4動画再生 |