2.5G/3G携帯電話の要素技術 ――通信以外の機能が充実し,複合サービス端末へ変身
○● COLUMU ●○
自動車や遠隔測定装置に携帯電話が付けば事業者はウハウハ
日本の携帯電話保有者は7,000万人でほぼ飽和状態に近いと言われています.NTTドコモを始めとする携帯電話事業者は,次の手としていろいろな機器に携帯電話を付加していくことを検討しています.
例えば,トヨタ自動車は車載用携帯電話ユニットとしてCDMA 2000-1xを利用したDCM(Data Communication Module)を開発し,それを核として「G-book」というサービスを提供しています.G-bookはDCM,SDカード,カー・ナビゲーション装置,ハンズフリー・キットを結合して,さまざまな情報サービスを提供するシステムです.このほか,携帯電話を利用するテレメータ(遠隔測定)用無線モジュールなども開発されています.
人間が携帯電話を持った場合,人間の行動パターンによってある時間帯のある場所に携帯電話が集中します.例えば都心の繁華街では,金曜日の夕方に電話がかかりにくい状態になります.携帯電話事業者は繁華街で通話不能にならないように,コストをかけて基地局の数を増やし,サービスの質を向上させる必要があります.端末数が増えれば増えるほど,この基地局設置のコストは増加します.
一方,いろいろな機器に携帯電話が付加された場合,人間の行動パターンと無関係に通信トラフィックが発生する割合が増えます.このような通信については,特定の場所に基地局を集中させる必要がないので,端末の台数が増えても,携帯電話事業者の負担はそれほど上昇しません.言いかたを変えれば,いろいろな機器に携帯電話を付加することで,コストを抑えながら通信料収入を増やすことが可能となります.
このようなメリットがあるので,今後,携帯電話事業者は,いろいろな機器に携帯電話が付加されることを促進する戦略を採っていくことが予想されます.