高速インターフェース規格ガイド ――Serial ATA,3GIO,InfiniBandから10GビットEthernetまで

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2002年6月17日

5.USB2.0

パソコン周辺では1394より優位となるか?

Anne Freathy

 パソコンや周辺機器に用いられていたシリアルやパラレルなどのさまざまな旧来のインターフェースに代わる低価格の標準的なシリアル・インターフェースとして,1996年にUSB 1.0が発表されました.この規格は,単なる接続機能だけでなく,ユーザの利便性を考えた機能も提供します.例えば,マウスやプリンタといったUSB周辺機器をパソコンに接続すれば,パソコンがこれを検出し,ソフトウェアが自動的にデバイスをすぐ使える状態に構成するプラグ・アンド・プレイの機能があります.USB 1.0は1998年にUSB 1.1へとバージョンアップされ,現在ではマウスやキーボード,プリンタ,スキャナ,ディジタル・カメラなど,パソコンや周辺機器の標準的なインターフェースとなっています.しかし,現在でも従来のインターフェースがすべてUSBに置き換わっているわけではありません.

●1394とのすみわけは?

 USB 1.0/1.1のリリース当時は,1394が高速の,USBが中低速のインターフェースを標準化するであろうと考えられていました.当時のプリンタ(インク・ジェット方式)や外部記憶装置に対しては,USB 1.1の速度で十分でした.しかし,その後CPUは高速になり,外付けハード・ディスク装置などの高速なアプリケーションが次々と発表されました.またパソコンのチップセットにおいてもUSBの標準化が進みました.これらのことに対応するためUSBの高速化が強く要求されました.

 12Mbpsは,高速スキャナやプリンタ,外部記憶装置などの周辺機器には不十分な速度です.また,使用する周辺機器が増えれば増えるほど,帯域幅を共有するデバイスがバス上に多く常駐します.例えば,アイソクロナス・トランザクションを必要とするUSBスピーカなどのアプリケーションがバス上にあると,プリンタのように大きなデータ・ブロックを転送しなければならないアプリケーションが利用できるバスの帯域幅が不足する場合があり,プリンタの性能が著しく低下したり,ときには停止してしまうことがあります.

 より大きな帯域幅の要求に対応するため,USB-IF(USB Implementers Forum)はUSB 2.0を発表しました.USB 2.0は,USB 1.1のフルスピード(12Mbps)の40倍のデータ転送速度であるハイスピード(480Mbps)に対応しています.USB 2.0仕様の主な利点は,USB 1.1と下位互換性があることです.USB 2.0のポートとハブにUSB 1.1デバイスをつなぐことができます.また,動作速度は遅くなるものの,USB 2.0の周辺機器をUSB 1.1ポートに接続できます.つまり,ユーザは既存の周辺機器をUSB 2.0対応製品に買い換える必要がありません.

 すでに,USB 2.0のハイスピード・モードに対応した周辺機器は,少なくとも100種類以上発売されています.しかし,USB 2.0のハイスピード・モードはパソコンでの利用の道をなかなか開けずにいます(USB 2.0アップグレード・カードなどはすでに市販されている).2001年後半に米国Microsoft社が,「Windows XPにはIEEE 1394ドライバしか搭載しない」と表明し,USB 2.0は大きな打撃を受けました.しかし,2002年1月に同社は2002年初頭のWindowsのアップグレードによってUSB 2.0ドライバも利用可能にし,その後まもなくWindows 2000でもサポートすると発表しました(http://www.microsoft.com/hwdev/usb/).

 USB 2.0のハイスピード・モードに対応したコントローラが米国Intel社のチップセットに内蔵されれば,パソコンの市場にもっと浸透すると予想されますが,これはおそらく2002年第2四半期ころでしょう.Intel社は,すでに最大5個のUSB 2.0ポートをサポートするデスクトップ・パソコン用のメイン・ボードを発売しています.

 USB 2.0は家電市場にも進出し始めていますが,その歩みはゆっくりとしたものです.というのも,IEC61883や5C DTCP(Digital Transmission Content Protection)などをサポートし,よりAVデータの転送に適している1394という強力なライバルがいるためです.1394はピア・ツー・ピア接続にも対応しているため,パソコンをホーム・ネットワークの中心と考えていない家電メーカにとっては,より魅力的と言えます.

 USB 2.0は,パソコンとその周辺機器市場で独占的な地位を獲得し,1394はマルチメディア・アプリケーションでの利用に限定される可能性が高いと予想されます.


Anne Freathy
Philips Semiconductors社

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