高速インターフェース規格ガイド ――Serial ATA,3GIO,InfiniBandから10GビットEthernetまで
10.Fibre Channel
光ファイバで10kmの伝送を可能に
前田明徳
Fibre Channelは,ANSI(American National Standard Institute)により標準化された,1Gbpsを超えるデータ転送速度を持ったシリアル・インターフェースです.1988年に米国で結成されたFCSI(Fibre Channel System Initiative)という組織が物理層の規格をまとめてANSIへ提案し,1994年に標準化されました.
Fibre ChannelはSCSIなどのチャネル接続インターフェースの特徴と,Ethernetのようなネットワーク接続インターフェースの特徴を合わせ持つインターフェースで,以下のような特徴を持ちます(表5).
1)長距離伝送
銅線ケーブルで最大33mまで,マルチモード光ファイバ・ケーブルで500mまで,シングルモード光ファイバ・ケーブルで最大10kmまで伝送することができます.
2)高速通信
1Gbpsや2Gbpsの製品がすでに出荷されています.
3)高信頼性
ビット誤り率(BER)の要求値は10-12以下であり,Ethernet(要求値は10-9以下)の1,000倍の信頼性を達成できます.
4)フロー制御
Fibre Channelでは精密なフロー制御を行っています.直接接続されている機器との間で,フレーム・バッファの空きぐあいを確認します.空きがあれば複数のフレームを送り,空きがなければフレームの送信を控えるといった制御を行っています.最終的な通信相手との間でも同様の制御を行っています.
5)広い帯域幅
全二重通信を行うことができるので,最大200Mバイト/s(通信速度1Gbps時)または400Mバイト/s(通信速度2Gbps時)の帯域幅を持ちます.
6)高いI/O性能
非常に小さいデータを多量に送れるため,1秒間に5万回以上のI/Oアクセスを行うことができます.
7)帯域幅効率
プロトコルのオーバヘッドが小さいので,90%近い帯域幅効率を得ることができます.
8)接続形態の多様性
機器を接続する形態(トポロジ)が3種類規定されていますが,実際にはこれらの任意の組み合わせで接続されます(図13).
〔表5〕 ネットワーク,チャネル,Fibre Channelの特徴
1 |
ネットワーク
(Ethernetなど) |
チャネル
(SCSIなど) |
Fibre Channel
|
接 続 | マルチポイント | 対向(スイッチあり) | 対向(スイッチあり)およびマルチポイント |
接続距離 | 最大10km | 最大10km | 最大10km |
接続形式 | コネクションレス型 | コネクション型 | コネクション型およびコネクションレス型 |
伝送速度 | 最大10Mバイト/s | 最大100Mバイト/s | 最大170M~190Mバイト/s |
伝送の信頼性 | BERは10/-9 | BERは10/-12 | BERは10/-12 |
伝送単位 | パケット | 方式によりさまざま | フレーム |
アドレス | 世界で唯一 | 系内で独立 | 世界で唯一 |
伝送形式 | シリアル | パラレル | シリアル |
(a)ピア・ツー・ピア接続 (b)ループ接続 (c)ファブリック(スイッチ網ア9接続)
〔図13〕 Fibre Channelの接続
機器を接続する形態(トポロジ)は,(a)ピア・ツー・ピア接続,(b)ループ接続,(c)ファブリック接続の3種類が規定されている.実際にはこれらの任意の組み合わせで接続される.