高速インターフェース規格ガイド ――Serial ATA,3GIO,InfiniBandから10GビットEthernetまで
●5Gbpsのシリアル・リンクを最大12本束ねる
InfiniBandは片方向2.5Gbpsのシリアル・リンクであり,双方向で5Gbpsのデータ転送速度を実現できます.それを1本(x1),4本(x4),12本(x12)束ねたものがそれぞれ仕様化されており,最大30Gbpsの双方向接続が可能です.複数の異なるプロトコルのパケットを流し,かつケーブルとして筐体の外に引き出すことができます(銅線で最大17m,光ファイバで最大250mまたは10km).これにより,ストレージ装置やネットワーク装置といった外部I/O装置との接続や,ノード間の接続といった各種のネットワークをInfiniBandネットワークに統合できます.
伝送信号は差動信号で,片方向に2本,つまりx1では4本の信号を用います.ほかにGND信号がありますが,コントロール信号やクロック信号などはありません.x4はx1を4本(信号線は16本)束ねて4倍の転送を行うリンクです.x12では48本の信号線を用います.さらに,Infini Bandではエンべデッド・クロックという手法を用います.これはクロック成分をデータ信号線に埋め込む手法です.InfiniBandでは差動信号を使用しますが,データが'0'から'1','1'から'0'に変化するときには必ずポジティブ信号とネガティブ信号が交差します.データ信号線でこれらの信号が交差するクロス・ポイントからクロック成分を取り出すことで総信号線数を抑えます.
図10にInfiniBandのコネクタを示します.コネクタは光ファイバ用と銅線用の二つに大別されます.
InfiniBandのネットワークを構成するうえで欠かすことのできないのが,サブネット・マネージャです.サブネット・マネージャは,サブネット・マネージメント・パケット(SMP)という優先順位の高い特別なパケットを使用することで,ファブリック・トポロジの検知やファブリックに接続されたノードの検知を行うソフトウェアです.サブネット上の各ノードはサブネット・マネージャの処理によって初めてサブネットに参加し,互いに通信が可能となるのです.
●サーバ・クラスタやストレージの接続に利用
InfiniBandがターゲットとする分野は,I/Oの相互接続やプロセス間通信,サーバ・ファブリック内のネットワークです.まずクラスタリング・システムにおけるサーバ間の相互接続での利用が期待されますが,現在注目を集めているDAFS(direct access file system)などのストレージ分野での利用も検討されています.すでにInfiniBandインターフェースを実装したデバイスが発表され,InfiniBandインターフェースを実装したサーバの登場も予定されています.
(a)バックプレーン・バス
(b)銅線ケーブル
(c)光ファイバ・ケーブル
〔図10〕InfiniBandのコネクタの種類
InfiniBandのコネクタは光ファイバ用と銅線用の二つに大別される.x1,x4,x12では信号の本数が異なるため,各コネクタの形状が異なる.どのコネクタもホット・プラグに対応している(本図はInfiniBand Trade Associationが作成したもの).
こいけ・ひろゆき
インテル(株)