高速インターフェース規格ガイド ――Serial ATA,3GIO,InfiniBandから10GビットEthernetまで
●今後は拡張機能を追加,転送速度は3Gbpsに
現在,Serial ATAの市場が立ち上がろうとしていますが,Working Groupではすでに次の規格である「Serial ATA II」の策定作業を開始しており,以下の2段階で仕様をまとめる予定です.
まず,フェーズ1ではサーバ/ネットワーク・ストレージ向けに,従来のATAよりもソフトウェアのオーバヘッドが少なくバス使用効率の高いコマンド・キューイング(デバイスがコマンドの完了を待たずに,複数のコマンドを待ち行列に入れる方法)を追加したり,スイッチなどを使って多くのデバイスを接続できるように拡張します.フェーズ2では,データ転送速度を3Gbpsに引き上げます.
また,Serial ATAの技術を応用したストレージ・インターフェースとして「Serial Attached SCSI(SAS)」が検討されています(詳細はhttp://www.serialattachedscsi.com/を参照).SASでは,物理層はSerial ATAを使い,上位層をSCSI(small computer system interface)プロトコルとしています.ソフトウェアからはSCSIとして見え,特にサーバでは既存のソフトウェア資産が流用できるという利点があります.また,Serial ATAデバイスと混在でき,Serial ATAとSASの間のスムーズな移行が可能です(図3).各フェーズ,SASの仕様完成と製品化の時期を図4に示します.
Serial ATA IIとSASは技術や市場で重なる部分が多く,両者が共存するのか,それともどちらかに収束するのか,今後の動向に注目したいところです.
〔図3〕Serial Attached SCSI(SAS)
Serial ATA(SATA)ホストはSASにはつながらないが,Serial ATA(SATA)デバイスはSASと相互接続が可能.
〔図4〕Serial ATAの今後の動向
Serial ATA のフェーズ1は2002年後半に仕様書の完成を,2003年に製品出荷を予定している.フェーズ2は2003年後半に仕様書の完成を,2004年に製品出荷を予定している.SASは2002年末に仕様書の完成を,2003年に製品出荷を予定している.
のざき・はじめ
NEC ネットワークコア開発事業部