高速インターフェース規格ガイド ――Serial ATA,3GIO,InfiniBandから10GビットEthernetまで
2.IEEE 1394a
パソコン周辺とディジタル家電に広く普及
三上裕司 IEEE 1394a規格はディジタル・ビデオ・カメラやパソコン周辺機器で広く使用されています.1394aは100Mbps,200Mbps,400Mbpsのデータ転送速度に対応しています.この規格の最大の特徴はホスト(通常パソコン)を介在せずに,ピア・ツー・ピアでデータを転送できる点にあります(表1).これを実現するためには,どのノード(デバイス)がバスの所有権を得るのかを決定するためのアービトレーション(調停)を行わなければなりません.バスの権利を与えるのはルート・ノードです.これはバス・リセット(ノードの接続または取り外し後のバス初期化状態)後のバスの接続状態(ツリー構造)識別時に割り当てられます.
〔表1〕 IEEE 1394aの主な仕様
データ転送速度 | 100Mbps,200Mbps,400Mbps |
ホット・プラグ | システムの電源を落とさずにバスに装置を着脱可能. |
プラグ・アンド・プレイ | バスに装置が装脱着されるたびにIDなどの設定を行う必要がなく,自動的にIDが割り当てられる.接続するだけですぐに使用可能. |
データ転送タイプ | アイソクロナス転送とアシンクロナス転送をサポート. |
階層構造のシステム構成 | トランザクション層はファームウェア,リンク層と物理層はハードウェアに含まれる. |
ピア・ツー・ピア転送 | IEEE 1394装置はホスト(パソコン)の介在なしに装置間の処理を実行できる. |
アービトレーション | 調停機能を実装することで,アイソクロナス転送では一定のバス帯域幅を保証し,アシンクロナス転送では平等にバスへのアクセスが許可される. |
エラー検出 | IEEE 1394バス上でデータ転送が正常に行われたかを検証するため,CRCが実装される.CRCエラーが検出されると,可能であれば処理をリトライする. |
ケーブル電力 | バス電力は決められたノードによって受電または給電が可能. |
拡張可能なバス | シリアル・バスのノードに備えられているポートに新しいシリアル装置を接続することで拡張可能.二つ以上のポートを持つノードはバスにデイジ・チェーン状に接続する. |