高速インターフェース規格ガイド ――Serial ATA,3GIO,InfiniBandから10GビットEthernetまで

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2002年6月17日

●MAC,伝送方式,伝送媒体を高速対応に1),2)

 Ethernetのフレーム長(最小64バイト)は比較的短いので,伝送速度の向上と伝送距離の延長に伴って送信中に衝突検出を行うことが困難になります.また,衝突は実効的な伝送量の低下,送信完了までの遅延時間の増加を招きます.このことから,10GビットEthernetでは,CSM/CDを採用せず,フロー制御による全二重方式のみを利用しています.また,物理層にSONET(Synchronous Optical Network)フレーム変換を行うWSI(WAN Interface Sublayer)を新たに追加し,WAN接続を可能にしました.

 伝送方式についても,4波長分割多重のWDM(wave length division multiplexing)を追加し,敷設済みのWDMファイバ網に接続できます.コード変換も,XGMII(10 Gigabit Media Independent Interface)に合わせて,64b/ 66bが新たに採用されました.伝送媒体は,ベースバンド方式による光ファイバだけを採用しています.これらの変更により,最大伝送距離はこれまでの5kmから40kmへと改善されました(表6)

f15_01.gif
〔表6〕10GビットEthernetの概要

●信頼性とLAN認識を改善へ

 WANで用いられているSONET,SDH(synchronous digital hierarchy),ATM(asynchronous transfer mode)などは,高い信頼性と高速・長距離伝送を可能としていますが,非常に高価です.Ethernetは,異なる伝送速度においても互換性があり,処理が簡単で安価なことから,LANで広く採用されています.しかし,WANへの適用を考えた場合,以下のような問題があります.

  1. 物理層にループバック機能がなく,耐故障性の高いリング型ネットワークを構成できないので,信頼性が低い.
  2. WAN上でLANを認識するためのフィールドが12ビットと小さいので,最大でも4096のLANしか識別できない.

 これらを解消するため,10GビットEthernetでは,以下の作業が進行中です.

  1. SONET並みの高速障害回避機能を実現するRPR(Resilient Packet Ring)のデータリンク層への適用(IEEE 802.17で審議中)
  2. ラベルによるLAN認識を可能にし,ネットワークの拡張性を容易にするEoMPLS(Ethernet over Multi Protocol Label Switching)の適用(IETF:Internet Engineering Task Forceで標準化作業中)

 今後,10GビットEthernetは,MANを基軸にしたWANへの展開が期待されています.


参考・引用*文献
 (1) 10Gigabit Ethernet Technology Overview White Paper,10Gigabit Ethernet Alliance.
 (2) 石田修,「10Gigabit Ethernetの現状と将来展望」,第14回光通信システムシンポジウム,OCS/OPE/PNI 00-4S.


しおざわ・のぼる
(株)日立インフォメーションテクノロジー

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日