組み込みソフトウェア開発の効率の良い学びかた ――組込みスキル標準(ETSS)からコーチングまで
ここでは組み込みシステム開発に必要なスキルを効率良く習得する方法を紹介する.組み込みソフトウェア開発に必要なスキルを体系化したものとして,独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウエア・エンジニアリング・センター(IPA/SEC)が作成した「組込みスキル標準(ETSS)」がある.これに基づいて自身のしごとを分析すると,組み込み技術の全体像やスキルアップの手順が見えてくる. (編集部)
組み込みソフトウェア技術にかかわるしごとをされている皆さん,いかがお過ごしでしょうか.日々,しごとに追い立てられていませんか.中には,「このままで良いのか」と,将来を不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか.
忙しい日々,不安に襲われる日々,どれも筆者が経験してきた日々です.1980年代の初めから組み込みソフトウェア技術者であった筆者は今,「組み込みソフトウェア技術者教育」という課題に取り組んでいます.技術者を教育するという立場から皆さんのお役に立ちたいと思い,この稿を執筆しました.筆者は,本業では教育カリキュラムや教材の開発と講義を行っていますが,本稿では,個々の教材の話ではなく,より上位の視点から組み込みソフトウェアの学びかたについて解説します.
現在,「組込みスキル標準(ETSS)」が注目を集めています.ETSSは,これからの組み込みソフトウェア技術者の一般常識になると思います.ここでは,技術者個人でETSSを活用する方法を紹介します.
さらに,これまた現在注目されている「コーチング」についても紹介します.コーチングとは,スポーツの世界の話ではありません.最近では,大型書店に行くと,ビジネス書の棚にコーチング関連の書籍が多数並べられています.Googleでコーチングを検索すると,200万件以上ヒットします(2006年3月現在).コーチングは,ビジネスの世界で大流行しています.ここでは,自分で自分をコーチングするセルフコーチングの概要について述べます.きっと,皆さんのしごとの役に立つと思います.
新年度が始まりました.新しいことを始めるにはとても良い時期です.さぁ,初心に帰って,元気に勉強していきましょう.